マーケティングオートメーションは、BtoC事業において重要なツールであることは間違いありませんが、BtoC特有の注意点やツールの選び方については、あまり知られていません。
マーケティングオートメーションの黎明期にはBtoB向けのリードナーチャリングが主体だったこともあり、実はBtoCには適さないマーケティングオートメーション ツールも存在します。
間違ったマーケティングオートメーションの導入で、BtoC事業拡大のチャンスを逃さないように、本記事では、「BtoCのマーケティングオートメーション」に焦点を充て、注意点やポイントをまとめました。
本記事のポイント
● BtoCのマーケティングオートメーション特有の注意点を解説
● ツール選びで見るべきポイントがわかる
● BtoCで成果を出すためのコツまで網羅
「BtoC事業で、マーケティングオートメーションのツール導入を検討中
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、失敗を回避するために押さえておくべき情報をキャッチアップできます。ぜひ成果を出すマーケティングオートメーション導入にお役立てください。
1. BtoCのマーケティングオートメーション特有の注意点とは?
BtoCのマーケティングオートメーションでは、どんな点に留意すべきでしょうか。
特有の注意点から解説しましょう。
- 多数の顧客と複数のチャネルでのコミュニケーションが発生する
- 興味関心が変化するスピードが速い
- 顧客ロイヤルティ獲得の重要性が高い
- 個人情報保護法がダイレクトに影響する
1-1. 多数の顧客と複数のチャネルでのコミュニケーションが発生する
1つめの注意点は「多数の顧客と複数のチャネルでのコミュニケーションが発生する」ことです。
BtoC事業は、BtoB事業に比較して顧客数が膨大になるうえに、顧客と接触するチャネルが多岐にわたります。
扱うデータ量やトラフィックが桁違いになるため、 BtoB向けのマーケティングオートメーションツールでは対応できないケースがあるため、注意が必要です。
扱う顧客数はブランドの規模によって数万人〜数百万人と幅広くなります。
扱う顧客数を考えるときには購入経験のある顧客だけでなく、無料キャンペーンやプレゼント応募などを活用して収集する見込顧客のデータも含めて検討する必要があります。
1-2. 興味関心が変化するスピードが速い
2つめの注意点は「興味関心が変化するスピードが速い」ことです。
BtoBとBtoCでは、購入までの意思決定プロセスが異なります。
BtoBでは何らかのビジネス課題の解決という導入目的があり、複数の関係者が合理的に意思決定をするため、興味関心がコロコロと変わることはありません。
一方、BtoCで対象とする生活者(消費者)は、興味関心の移り変わりがリアルタイムに訪れます。
例えば、SNSや広告との接触、友人や家族の意見、競合他社の商品認知など、何らかの情報に触れるたびに気分が変わることも珍しくありません。
BtoCでは、顧客の興味関心に対して臨機応変に、タイミング良くアプローチすることが求められます。
1-3. 顧客ロイヤルティ獲得の重要性が高い
3つめの注意点は「顧客ロイヤルティ獲得の重要性が高い」ことです。
多くのBtoC事業のビジネスモデルは、顧客が継続的にリピート購入することで初めて、新規獲得費用などの初期費用を回収できる仕組みになっています。
リピート購入を促すために重要になるのが、顧客ロイヤルティです。
顧客ロイヤルティ(忠誠心、特別な愛着や信頼)を獲得できなければ、BtoCでマーケティングオートメーションを導入する意味はないといっても過言ではありません。
1-4. 個人情報保護法がダイレクトに影響する
4つめの注意点は「個人情報保護法がダイレクトに影響する」ことです。
一人ひとりの生活者・消費者を対象とするBtoC事業において個人情報を扱ううえでは、個人情報保護法に準拠する必要があります。
マーケティングオートメーションでは個人情報を直接的に扱うため、個人情報保護法の改正などの動向には注意しながら導入を進めなければなりません。
具体的な対策は、次章で解説しましょう。
2. BtoCのマーケティングオートメーションの選び方 5つのポイント
前章でご紹介したBtoCならではの注意点を踏まえつつ、BtoCのマーケティングオートメーションを選ぶポイントを見ていきましょう。
- 顧客数の増加・膨大なデータ量に対応できる
- 利用したいチャネルに対応している
- シナリオの柔軟な改変がしやすい
- ロイヤルティプログラムを実行できる
- Cookie規制対策ができている
2-1. 顧客数の増加・膨大なデータ量に対応できる
1つめのポイントは「顧客数の増加・膨大なデータ量に対応できる」ことです。
現在の顧客数だけでなく、ビジネスが拡大して想定される顧客数やトラフィック数に対応できるマーケティングオートメーションを選ぶことが大切です。
具体的に必要な容量はそれぞれの企業によって異なりますので、ツールベンダーに具体的な自社の状況を伝えて確認することを忘れないようにしましょう。
2-2. 利用したいチャネルに対応している
2つめのポイントは「利用したいチャネルに対応している」ことです。
BtoCでは、さまざまなチャネルを横断してコミュニケーション施策を実現できるマルチチャネル対応のツールが適しています。
ほとんどのツールでメール配信機能は標準装備されていますが、それ以外のチャネルは個々に確認が必要です。
例えば、
「LINEを使いたい」
「オフラインの情報とも連携したい」
など、あらかじめ顧客とのタッチポイントとなるチャネルを洗い出しておきましょう。
※タッチポイントの洗い出しについては、以下の記事をあわせてご覧ください。
2-3. 複数のシナリオを設定できる
3つめのポイントは「複数のシナリオを設定できる」ことです。
興味関心が多岐にわたり、移り変わりのスピードも速いBtoCでは、複数のシナリオを設定できるツールの活用が有効です。
複数のシナリオを同時運用することで、より多くの顧客のパターンに最適化したコミュニケーションを実現できます。
※シナリオについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
2-4. ロイヤルティプログラムを実行できる
4つめのポイントは「ロイヤルティプログラムを実行できる」ことです。
BtoCで顧客ロイヤルティを高めるために、ぜひ導入したいのがロイヤルティプログラムです。
ロイヤルティプログラムとは、インセンティブ(特典)の付与や、特別なスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の創出を通して、顧客ロイヤルティの醸成を図るプログラムです。
▼ ロイヤルティプログラムの具体例
- 会員ランクごとに異なる特典が受けられる会員制度
- 購入金額に応じて付与されるポイント制度
- 新商品の優先先行販売
- 会員限定イベントへの招待
- 誕生日プレゼントの贈呈
ツール選びの際には、ロイヤルティプログラム機能があることを確認しましょう。
ロイヤルティプログラムについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
- ロイヤルティ プログラム
2-5. Cookie規制対策ができている
5つめのポイントは「Cookie規制対策ができている」ことです。
直近の個人情報保護法の動向で押さえておくべきことは、Cookie規制です。
参考:cookie 規制
今後は、他社や第三者機関によって収集されたデータ(サードパーティ データ、セカンドパーティ データ)の活用は難しくなっていきます。
そこで3rd party Cookieに依存しないデータである「ゼロパーティ データ」が活用できるツールを選定することが大切です。
ゼロパーティ データについて詳しくは、以下の記事にてご確認ください。
3. マーケティングオートメーションをBtoCに導入する流れ
実際にマーケティングオートメーションをBtoCで導入する流れを3ステップでご紹介します。
- ステップ1:ツールの選定
- ステップ2:導入体制の検討
- ステップ3:システム構築・実装
3-1. ツールの選定
1つめのステップは「ツールの選定」です。
最初に整理すべき項目
正しく的確なツール選定をするコツは、検討に着手する前の段階で目的・予算・期限などを明確化し、関係者内で合意しておくことです。
▼ 選定前に整理すべき項目
- 目的
- 目指す成果
- かけられるコスト
- 導入期限
- 人的リソース
これらの大本が定まらない状態で議論しても、かみ合わずに時間が過ぎるばかりになります。
BtoCのツール選びのコツ
押さえておきたいのは、マーケティングオートメーションツールの市場は、BtoB向けツールからスタートしている点です。
「BtoCにも使える」と謳ってはいても、BtoBをベースに開発されたツールはBtoCでは使いにくいことがあるので注意しましょう。
BtoC向けツールの例としては、以下が挙げられます。
- チーターデジタル「Cheetah Digital by Marigold 」
- セールスフォース・ドットコム「SalesforceMarketing Cloud」
- データX「b→dash」
3-2. 導入体制の検討
2つめのステップは「導入体制の検討」です。
導入するツールが決まったら、社内外の関係者を整理し、誰が何をやるのか明確にしましょう。
▼ 導入体制
社外 | ツールベンダー マーケティング支援会社(マーケティング支援を依頼する場合) システム会社(社内システムと連携する場合) |
社内 | マーケティング部門 システム部門 |
社内のリソースだけでは対応できない部分はアウトソーシングして、十分な戦力を確保したうえで導入に取り組むことが大切です。
3-3. システム構築・実装
3つめのステップは「システム構築・実装」です。
実際にシステム構築・実装に入っていきます。大まかな流れは以下のとおりです。
▼ システム構築・実装の流れ
プロジェクト企画 | 導入目的の整理 全体計画の策定 |
要件定義 | システム要件の整理 施策スコープ策定 |
システム設計 | システム間のデータ連携設計 配信処理 データ処理 |
実装 | 環境構築 データ連携 コンテンツ設定 |
テスト | テスト運用 テスト結果確認 |
選定したツールや規模にもよりますが、およそ3ヶ月〜6ヶ月程度で導入完了となります。
なお、マーケティングオートメーション導入について詳しくは「マーケティングオートメーション 導入」にて解説していますので、あわせてご覧ください。
4. BtoCのマーケティングオートメーションを成功させるコツ
最後に、BtoCのマーケティングオートメーションを成功させる3つのコツをお伝えしましょう。
- 複数のシナリオをブラッシュアップしながら運用する
- シナリオ設計を複雑にしすぎない
- 顧客ロイヤルティに重点を置いたツールを選ぶ
4-1. 複数のシナリオをブラッシュアップしながら運用する
1つめのコツは「複数のシナリオをブラッシュアップしながら運用する」ことです。
まず、シナリオは、以下の流れで設計します。
▼ シナリオ設計の流れ
- ステップ1:ペルソナ設定
- ステップ2:カスタマージャーニー作成
- ステップ3:シナリオ設計
- ステップ4:スコアリング設計
ペルソナ(代表的な顧客像)とカスタマージャーニー(顧客を主人公とした一連のブランド体験)を設計して、それをシナリオ化していきますが、BtoCでは、ペルソナとカスタマージャーニーを複数のパターン作るのがおすすめです。
ファーストステップでは3パターンを目安に作成し、運用しながら成果を見て、ブラッシュアップしていきましょう。
4-2. シナリオ設計を複雑にしすぎない
2つめのコツは「シナリオ設計を複雑にしすぎない」ことです。
複数のシナリオを同時に運用する一方で、同時にシナリオ設計はできる限りシンプルさを保つことも、重要なコツとなります。
複雑化するほど分析に時間がかかり成果が見えにくくなるため、結局スピーディなブラッシュアップの妨げになります。
「あれもこれも」と付け足すのではなく、無駄は省いた最短アプローチをシナリオとして設定しましょう。
4-3. 顧客ロイヤルティに重点を置いたツールを選ぶ
3つめのコツは「顧客ロイヤルティに重点を置いたツールを選ぶ」ことです。
BtoCのマーケティングオートメーションで成果を上げるためには、何よりも「顧客ロイヤルティを醸成できるか」が重要です。
ぜひ、導入の時点から顧客ロイヤルティ醸成に効果的なツールを選んでください。
おすすめは高度なロイヤルティ戦略を提供する『Cheetah Digital by Marigold 』です。
エンゲージメント・データ・プラットフォーム、エクスペリエンス、メッセージング、ロイヤルティの4つの機能を持ち、パーソナライズされた顧客体験・クロス チャネル メッセージング・ロイヤルティ戦略をオールインワンで実現できるツールです。
詳しくは以下のリンクからご確認ください。
『Cheetah Digital by Marigold 』
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5. まとめ
BtoCのマーケティングオートメーション特有の注意点として以下が挙げられます。
- 多数の顧客と複数のチャネルでのコミュニケーションが発生する
- 興味関心が変化するスピードが速い
- 顧客ロイヤルティ獲得の重要性が高い
- 個人情報保護法がダイレクトに影響する
BtoCのマーケティングオートメーションの選び方のポイントはこちらです。
- 顧客数の増加・膨大なデータ量に対応できる
- 利用したいチャネルに対応している
- 複数のシナリオを設定できる
- ロイヤルティプログラムを実行できる
- Cookie規制対策ができている
BtoCのマーケティングオートメーションを成功させるコツは以下のとおりです。
- 複数のシナリオをブラッシュアップしながら運用する
- シナリオ設計を複雑にしすぎない
- 顧客ロイヤルティに重点を置いたツールを選ぶ
BtoCに適したマーケティングオートメーションを導入し、顧客との良い関係性を構築していきましょう。