データドリブンマーケティングとは?実施方法と成功の為のコツを解説

データドリブンマーケティングとは?_500x500pix

「データドリブン マーケティング」とは、ユーザーの行動履歴や売上などのデータをもとに意思決定をして、マーケティングや経営活動を行うことを指します。

担当者の勘や経験に頼るのではなくデータに基づいて客観的に判断するため、より精度が高く再現性の高い施策を打つことができるというメリットがあり、近年注目を集めています。

そのためうまく取り入れると効率の良いマーケティングを実現し、業績拡大につなげることができます。

しかし、データドリブンマーケティングについて正しく理解していないと、一部分だけをとり入れて満足してしまったり、導入後に思ったように活用できずに困ったりしてしまうかもしれません。

そこでこの記事では、データドリブンマーケティングを導入して売上拡大を目指したいという人に向けて、以下の内容を解説していきます。

 本記事のポイント
データドリブンマーケティングが重要な理由
データドリブンマーケティングの基本の流れ
データドリブンマーケティングの活用事例
データドリブンマーケティングでよくある失敗
データドリブンマーケティングを成功させるための注意点
データドリブンマーケティングを成功させるために必要なツール

この記事を最後までお読みいただければ、データドリブンマーケティングの重要性をきちんと理解した上で、活用事例やよくある失敗、注意すべき点についても一通り把握することができます。

そうすると、失敗することなくスムーズに自社のビジネスに活用していくことが可能になるでしょう。

従来とは違う確度の高いマーケティングを成功させるため、データドリブンマーケティングについてしっかり学んでいきましょう。

1.データドリブンマーケティングとは

冒頭でも説明した通り「データドリブンマーケティング」とは、様々なデータをもとにマーケティング戦略や経営方針などに関する意思決定を行うことをいいます。

データドリブン マーケティングとは
ユーザーの行動履歴や売上実績、ビッグデータなどの様々なデータをもとに意思決定をして、客観的に販売施策や経営戦略の内容などを決めるマーケティング手法のこと

顧客の行動分析や効果測定などで得られたデータをもとに、次のアクションを決めて実施することで、的確なマーケティング活動の実現が可能になるという点が大きなメリットです。

1-1.従来のマーケティングとの違い

従来のマーケティングとの違いは、以下の通りです。

従来のマーケティングとの違い
従来のマーケティングデータの取得や活用方法が確立していなかったため、勘や経験などをもとに施策や戦略を決めて実行せざるを得なかった

データドリブンマーケティングデータ収集や活用ができるようになり、顧客の行動や売上をもとにした施策決定などが実行できるようになった

上記のように顧客のデータを収集することが困難だった時代には、マーケティング施策を決める際に、熟練社員の勘や経験にもとづいた意思決定が行われるということがしばしばありました。

しかし現在は、技術の進歩や社会のIT化によって顧客の様々なデータを取得・分析できるようになりました。

そこで「勘や経験」といった不確かな要素に頼ることなく、データをもとに精度の高いマーケティングを実行しよう、という「データドリブンマーケティング」が注目されるようになってきたのです。

1-2.データドリブンマーケティングの流れ

データドリブンマーケティングのおおまかな流れは下記の通りです。

データドリブンマーケティングの流れ
「データ収集」→「データ可視化」→「データ分析」→「施策決定」→「施策実行」→「効果測定」 →最初の「データ収集」へ戻る

まず最初に、活用したいデータの収集を行います。

次に、そのままでは知りたい情報がわからないため、加工して見やすくした上で分析を行います。

その後、分析結果をもとに施策を立案して実行。最後に効果測定を行い、改善のためには何をすればいいかを考え、また最初の「データ収集」へ戻ります。

これらの項目の具体的な実施方法は、「データドリブンマーケティングの基本の流れ」で紹介します。先に細かい内容を知っておきたいという人は、先にこちらの章をお読みください。

2.データドリブンマーケティングが重要な理由

データドリブンマーケティングの概要についてはご理解頂けたのではないかと思います。

そこで次は、データドリブンマーケティングが重要な理由をお伝えしていきます。

これを正しく理解することができると「自分がこのマーケティング手法をとり入れるべきかどうか」を正しく判断できて、仕事の改善方針もイメージしやすくなります。

データドリブンマーケティングが重要な理由は以下の通りです。

データドリブンマーケティングが重要な理由
ユーザーの多様化に対応したマーケティングが必要だから自社ユーザーに適した施策の実現に必要だから顧客ロイヤリティの向上に役立つから費用対効果が良いから

早速見ていきましょう。

2-1.ユーザーの多様化に対応したマーケティングが必要だから

過去の大量生産・大量消費の時代は、ユーザーのニーズを細分化しなくてもモノが売れたため、画一的な施策や宣伝方法に陥るケースが多く見られました。

しかし近年はユーザーのニーズや購買行動が多様化しているため、従来のマーケティングでは対応しきれなくなってきています。

そのために重要となってきたのが、ユーザーをひとまとめにして捉えるのではなく、個別にニーズを読み取りそれぞれに対して最適なコミュニケーションを取る必要がある、という考え方(one to oneマーケティング)です。

これを実現してユーザーに求められるサービスを提供するためには、まずは一人ひとりがどのような行動を取っているのかを知り、分析していく必要があります。

そこで必要となったのがデータドリブンマーケティングです。個別のユーザーのニーズや行動を把握することで、それぞれが最も望むものを提供することができるようになるためです。

このようにデータドリブンマーケティングは、「ユーザーの多様化に対応せねばならない」という課題の解決策として、非常に重要な役割を果たすものだといえるでしょう。

2-2.自社に適した施策の実現に必要だから

他社と差別化するためには、同じようなマーケティングを行っても意味がありません。

なぜなら、自社と他社とでは「どのような年代のユーザーが多いか」「どの部分に対して魅力を感じてサービスを利用してくれているのか」「利用されることが多い時間帯はいつなのか」などといったユーザー行動や特性が異なるからです。

逆に、自社サービスやユーザーをきちんと把握してそれを施策に活かすことができれば、非常に高い効果が期待できます。

昔は顧客データを個別で得るのには限界があったため、大まかなデータや市場の傾向をもとにマーケティングを行うことしかできませんでした。

しかし今は顧客のデータを細かく取得できるため、以下のように自社ユーザーに合ったマーケティング施策をとることができます。

このように自社のサービスやユーザーに適したマーケティング方法を見つけることができると、精度高く売上を増やしていくことができます。

データドリブンマーケティングはこういった点でも非常に重要な役割を果たすのです。

2-3.顧客ロイヤルティの向上に役立つから

データドリブンマーケティングでは、ユーザー一人ひとりの行動に合わせて最適なアクションをとることができます。

これは、売上の向上につながるという点だけでなく「顧客ロイヤルティの向上」という観点でも非常に重要です。

例えば以下のような2つのサービスがあった場合、多くの人が利便性の高さを感じるのは後者のサービスではないでしょうか。

①購入した商品をまだ使い切っていないのに次の購入を促すダイレクトメールが届く②購入した商品を使い切る頃に、次回購入の案内と、一緒に使うとより便利な商品を紹介する内容のダイレクトメールが届く

後者では、ユーザーが商品を購入した日付に応じて次回購入のダイレクトメールを送るスパンを調整することで、ユーザーが「次の購入に関する情報が欲しい」と思うタイミングに合わせてアクションをとることができています。

そうするとユーザーは欲しいときに欲しい情報を得ることができ、さらに便利な方法まで提案してもらえるため、そのサービスへのロイヤルティが高まるのです。

このように、顧客ロイヤルティ向上のためにもデータドリブンマーケティングは重要だといえるでしょう。

2-4.費用対効果が良いから

データドリブンマーケティングには、費用対効果が良いという側面もあります。

従来の「勘や経験に頼ったマーケティング」の場合、会社が年単位の時間をかけて熟練した社員を育てていく必要がありました。

しかし、データドリブンマーケティングであれば、社員に何年も修行を積ませる必要はありません。

もちろん、データの見方や分析に慣れる必要はありますが、勘や経験のように会得するために数年単位の時間がかかるものではないため、人材不足でも教育コストを抑えて効率よく精度の高いマーケティングを実施することができます。

また、マス向けの大がかりなマーケティングでは億単位の費用がかかる割に、実際に売り上げに寄与したのかどうか分かりにくいという点もありました。

しかし、データを活用して個別のユーザーへアプローチするというデータドリブンマーケティングの場合は、そうした多額の費用はかかりません。さらに、ユーザーの行動や特性に応じたアクションがとれるため、実際の売上に結びつきやすいという特徴があります。

このように「費用対効果が良い」という点も、データドリブンマーケティングが重要視される理由のうちの一つなのです。

3.データドリブンマーケティングの基本の流れ

データドリブンマーケティングが重要な理由を解説してきました。こんなに大切なものならすぐに取り入れたいと感じた人もいるのではないでしょうか。

そこでこの章では、データドリブンマーケティングの基本の流れを詳しくお伝えします。

全体の流れをしっかり理解することで、自分の仕事への導入イメージを明確にすることができるでしょう。

データドリブンマーケティングは、前半でもご説明したように以下の5つのステップから成り立っています。

データドリブンマーケティング 5つのステップ
データ収集データ可視化データ分析施策決定・実行効果測定

一つずつ見ていきましょう。

3-1.データ収集

まずは必要なデータを決めて集める「データ収集」のステップです。

収集するデータの例としては、以下のようなものがあります。

収集するデータの例
ユーザーの購入履歴、購入のきっかけ、ダイレクトメールの開封状況、WEBサイトのアクセス履歴、満足度、リピート率、居住地、年齢、性別、関心のある分野、自社サービスの売上、評価、など

ただし、一言でデータといってもあまりにもたくさんの情報があるため、やみくもに集めても仕方がありません。

そこで以下のように、目的を達成するためにはどのようなデータが必要なのかを考え、欲しいデータを絞った上で収集を行う必要があります。

目的に応じたデータ収集方法の例
申し込みユーザー数を増やすための改善ポイントがどこか知りたい→ 現状の売上獲得状況を知るため、WEBサイトへのアクセス状況や商談状況、申し込み率などのデータを集めるユーザーのリピート率を高めるための改善ポイントがどこか知りたい→ 現状のリピート率がどんな要素と相関関係にあるのかを知るため、リピートユーザーの特性や行動履歴のわかるデータを集める

このような方法でデータを集めたら、次は加工のステップに入ります。

 

3-2.データ可視化

集めたデータは文字や数字が並んでいるだけで、そのままでは価値を持ちません。そのため、データ同士の関係性や過去からの変化などを見やすくするため、加工する必要があります。

また、例えば自社サービスの利用率を調べたいとき、収集したデータをそのまま使おうとすると、一般のユーザーだけでなく社員の利用率も含まれてしまう場合があります。そういった不要なデータを削除するというのもこの段階で行うことです。

この加工の作業は、少ない件数であればエクセルなどの表計算ソフトで行うこともできますが、数万件など多くのデータを扱う場合は解析用のツールを活用したほうが良いでしょう。作業スピードが速いことと、人的ミス等も起こりにくくなるためです。

データ可視化に役立つツールについては「データドリブンマーケティングを成功させるために必要なツール」で解説します。

3-3.データ分析

データの可視化ができたら、次は早速分析に入ります。

分析の手順は下記の通りです。

データ分析の手順
可視化されたデータを確認課題を抽出その課題が生じている原因に対する仮説を立てる

可視化されたデータの中で、どこに課題があるのかを探してそれに対する仮説を立てます。

例えば、同じ100件という申し込み数であっても、状況に応じて課題は以下のように異なります。

このように、目的達成の障害になっている箇所を探し出し、その原因としてはどのようなことが考えられるのか?ということを検討していくことで、具体的な施策を考えるステップに進めるようになります。

「データ分析を行うためには熟練したデータサイエンティストが必要なのでは?」と考えている人もいるかもしれませんが、最近ではマーケティングオートメーションツールを活用すればある程度の分析は可能です。

この分析に役立つツールも後ほど紹介していきます。

3-4.施策決定・実行

課題やその原因に対する仮説を立てることができたら、次は実際に施策を決めて実行していきます。

施策決定と実行の流れは以下の通りです。

施策決定・実行の流れ
課題と仮説に対して効果的な施策アイディアを出していくアイディアの中から、費用や実現可能性等を元に実行可否や実行の順番を決める施策を実行していく

まずは、分析の結果明らかになった課題と仮説に対して、効果的な施策案を以下のように挙げていきます。

課題集客数に対するコンバージョン率が低い仮説WEBサイトの申し込みボタンへの動線が悪い、他社サービスとの違いが不明確、初回申し込み者限定キャンペーンに気づいてもらえていない施策案申し込みボタンの配置や色、サイズ等を改善する、他社と比較しようと離脱するのを防ぐために紹介ページ内に他社比較まで全て入れる、キャンペーンバナーをポップアップ式に変更してアピール度を高める など

そして、「費用や期間はどのくらいか」「実行するための人員は足りているか」などをもとに、どの施策から実行すべきなのかを決めて実行していきます。

3-5.効果測定

施策を実行できたら次はできるだけ早く効果を測定し、PDCAを回していきます。

ここで重要なのは、目的に応じた効果測定指標(KGIやKPI)を立てることです。目的が曖昧なままでは正しく効果測定できなくなってしまうため、最初にきちんと決めておきましょう。

KGI・KPIとは
KGI(Key Goal Indicator:キー ゴール インジケーター)とは日本語では「重要目標達成指標」「経営目標達成指標」などと訳される。事業や経営上の最終的な目標を数値などで示したもの。KPI(Key Performance Indicator:キー パフォーマンス インジケーター)とは「重要業績評価指標」と訳される。最終的なゴールであるKGIを達成するために必要な中間目標を数値などで定量的に示したもの。

上記のようにKGIとは最終的なゴールのことを指し、それに対してKPIはそこに到達するための中間目標のことを指します。

例えばKGIが「売上高を10%増やす」ということであれば、KPIは以下のように、それを達成するための目標を数値化したものとなります。

KGIとKPIの例
KGI売上高を10%増やすKPIコンバージョン率を5%にする、サイト訪問者数を月間10万人にする など

実際にこういった数値を確認すると、その施策が効果的だったのかそうでないのかが明確にわかるようになります。

このようにして施策の効果を測定することができたら、次は具体的な改善方針を検討していきます。

例えば「実施した施策だけではコンバージョン率が4%までしか上がらなかった」ということであれば、また別の施策を考えて実行していく必要があるかもしれません。

反対に、目標の数値を達成できたのであれば、更に改善すべき場所を探して改善を重ねていくのが良いでしょう。

そうして新しい目的ができたら、またそれを達成するための施策を検討するため、それに必要なデータ収集を行っていきます。

このようにデータ収集から分析、施策実行、効果測定までのステップを繰り返してPDCAを回していくことで、効率の良いマーケティングが実現できるのです。

4.データドリブンマーケティングの活用事例

データドリブンマーケティングの基本の流れについて、しっかりご理解いただけたのではないでしょうか。そこで次は、実際に導入した後に良い成果を上げられるよう、他社の活用事例を紹介します。

具体的な活用イメージがないまま導入してしまうと、最大限に活用することができなかったり、方向性を間違えてしまったりすることがあるためです。

他社の事例を参考にすることで、自社の目指したい姿を具体的に描けるようにしていきましょう。

4-1.新学期の時期や顧客の好みに合わせて4週に分けたキャンペーンを実施

まずは、世界的に有名なスポーツブランド「THE NORTH FACE」が米国で行ったキャンペーンについて紹介します。

同社では、新学期を迎える顧客に向けて以下のように顧客データを活用したキャンペーンを行い、効率的なマーケティングを実現しました。

THE NORTH FACEの事例
顧客を以下の項目でセグメント
「どんな商品を探しているのか」「顧客のライフスタイルは都会型か地方型か」「新学期のために商品を購入する時期はいつか」「購入者は誰か(親か本人か)」「顧客が最も興味を持っていることは何か」「どんなスタイルが好みか」
新学期が始まる時期や顧客の関心度に合わせてキャンペーンを実施

米国では、住んでいる地域によって新学期の時期が最大で4週間異なります。

そのため各地域の新学期開始時期のデータを収集し、それに合わせて時期をずらしてキャンペーンの案内を行うことで、顧客にとって適切なタイミングに商品を情報を提供することができたそうです。

また新学期の時期だけでなく、「都会の友達と遊ぶのが好き」「キャンパスよりアウトドアが好き」など顧客の好みのデータをもとにアプローチを変えることで、より精度の高いマーケティングを実現しました。

4-2.WEBサイト閲覧状況をもとに最適なコミュニケーションを実現

国内の大手グルメサイト「ぐるなび」では、以下のようにユーザーのWEBサイト閲覧状況データに合わせてコミュニケーションをとることで、ユーザーの求める情報を適切なタイミングで提供し、飲食店の予約につなげています。

ぐるなびの事例
ユーザーのWEBサイト閲覧状況を確認店舗の詳細ページを閲覧したのに予約を行わなかったユーザーを抽出閲覧したお店に類似するお店を紹介するメールを送信ユーザーは自ら他のお店を探す手間を省きながらも希望のお店を見つけて予約することができる

その他にも、来店ユーザーへのフォローや次回予約を促進する施策なども合わせて実行した結果、以下のような成果を達成することができました。

ぐるなびがデータを活用したマーケティングによって実現した成果
1年間の平均予約回数が200%向上年間で2回以上予約する会員の割合50%向上1年間の予約リピート率が230%向上

このような対応を手作業で実施しようとすると多大なる手間がかかってしまいます。そのためぐるなびでは、こういった作業を自動で行うことができるマーケティングオートメーションツールを使用しています。

おすすめのツールについては後半の「データドリブンマーケティングを成功させるために必要なツール」で詳しく解説します。

ぐるなび社の事例についてより詳しく知りたいという場合はこちらをご覧下さい。

4-3.誘引したい顧客の行動に合わせた観光企画を実施

兵庫県の有名な観光地である「城崎温泉」でも、観光施策の検討にデータを活用した事例があります。

具体的には以下のような内容です。

城崎温泉の事例
観光客の行動データを収集して分析携帯電話の位置情報をもとに「どんな人がどのような観光をしているか」を確認最も多い客層である若い女性を集客する為の施策を検討季節ごとに観光客の属性(性別や年齢)が異なることが分かったため、最ボリューム層である若い女性客の多い時期に、若い女性に響きそうなハンドメイドマーケット企画を立案

上記のように顧客の行動データを活用することで、ターゲットを絞った最適な企画を実施することができるようになります。

5.データドリブンマーケティングでよくある失敗

他社の活用事例を知ることで「自社でもこんな風にデータを活かしていきたい」というイメージが具体的になってきたのではないでしょうか。

ただし今の段階で「早速導入しよう!」と動き出してはいけません。

活用に成功している例だけでなく失敗例についても事前に知っておかないと、せっかく導入してもうまく活用できずに終わってしまうという事態を招く可能性が高くなってしまうからです。

この章では、データドリブンマーケティングでよくある失敗として以下の3つについて解説します。

データドリブンマーケティングでよくある失敗
データ収集のみにとどまりうまく活用できない現場がついていけない

データドリブンマーケティングで起こりうる失敗を知っておくことで、スムーズに活用できるようにしていきましょう。

5-1.データ収集のみにとどまりうまく活用できない

データを収集するだけでは有効な施策の立案につなげることはできませんが、最初はどうしてもどのように活用すれば良いのかがわからず、収集のみに留まってしまうことがあります。

よくあるのは以下のようなケースです。

収集したデータの可視化がうまくできないデータの中で着目すべきポイントがわからず分析できない

このような状況に陥ってしまうときの原因の多くは「データを活用して何を実現したいのか」が明確になっていないからです。

目的がはっきりしていれば、どのようなデータを使って何を調べれば良いのか迷うことはありません。

そのため、自社の解決したいことや目指す方向をしっかりと定めた上でデータドリブンマーケティングに取り組むことが重要だといえるでしょう。

5-2.現場がついていけない

データドリブンマーケティングを取り入れる際は、新しいITツールやシステムを導入して行うケースがほとんどです。

すると現場の社員はこれまでと違うツールを使いこなすことを求められるため、適性や他の業務との兼ね合いなどによっては負担を感じる場合もあります。

データ収集や分析などの作業はツールが自動で行ってくれますが、それを活用して最適な施策を立案し、実行していくのは「人」です。

人的リソースが足りない状態で無理やり導入しても効率よくPDCAを回すことができず、せっかくのデータも宝の持ち腐れになってしまうでしょう。

また、データ収集する際は一つの部署だけで完結することはなく、マーケティング部門や営業部門、カスタマーサポート部門など、複数の部署が連携することがほとんどです。

そんなとき、部署間でデータドリブンマーケティングへの理解度に差があれば、うまく協力を取り付けられず、導入開始にこぎつけるまでの社内調整が難航してしまうということも考えられます。

そのため、データを最大限に活用したマーケティングを行うためには、現実的にそれを実行していくことができる体制づくりを行うことも非常に大切になるのです。

6.データドリブンマーケティングを成功させるための注意点

データドリブンマーケティングでよくある失敗について解説してきました。そこで次は、そんな失敗を避けて成功を掴むための注意点をお伝えしていきます。

事前に注意点を意識せずにやみくもに取り入れてしまうと、せっかくの有効なマーケティング手法もその効果を最大限に発揮することはできません。

データドリブンマーケティングを成功させるための注意点は、以下の2つです。

データドリブンマーケティングを成功させるための注意点
データを収集できるか事前にしっかり検討する適切なツールを導入する

詳しく見ていきましょう。

6-1.データを収集できるか事前にしっかり検討する

データドリブンマーケティングでは、まずはデータを収集しなければ何も始まりません。

そのため、自社の目的達成のために必要なデータを本当に集めることができるのか、事前に確認しておくことが大切です。

具体的には以下のようなポイントをチェックすると良いでしょう。

問題なくデータ収集ができるか検討する際のポイント
自社にとってどのようなデータが必要なのか明確になっているかそのデータはどのように入手することができるかデータ形式はバラバラではないか

この部分をきちんと検討できていないと、せっかくデータを集めようとしても「必要なデータが取得できない」「膨大な手作業が必要になってしまった」「データ形式が異なるため比較ができない」などの問題が発生してしまいます。

「流行っているから自社も取り入れよう」という風に考えるのではなく、自社が導入して活用するイメージをしっかりと具体化しておくことが大事なのです。

6-2.適切なツールを導入する

データドリブンマーケティングを成功させるためには、膨大なデータを記録して整理・分析することが必要になります。

そのためには「有能なデータサイエンティストやデータアナリストが必要なのでは?」と考える人もいるかもしれません。

確かにデータ分析に長けた人材がいることに越したことはありません。しかし、そういった専門的なスキルを持った人材がいない会社も多いと思います。

ただしそのような場合でも諦める必要はありません。なぜならデータドリブンマーケティングは、専門的な人材がいなくても適切なITツールを導入することができれば充分実施することができるからです。

むしろ専門的な人材だけいても、適切なツールがなければデータドリブンマーケティングを実現させることが難しいでしょう。大量のデータを取り扱う必要があるため、人の手では限界があるためです。

そのため、自社が取り扱いたいデータの種類や、実現したい目的に応じて必要ツールを選択し、導入すると良いでしょう。

具体的なツールについては次の章で詳しく解説します。

7.データドリブンマーケティングを成功させるために必要なツール

データドリブンマーケティングの基礎から、実際の導入にあたって考慮しておくべき点まで詳しく解説してきました。

そこで最後に、データドリブンマーケティングを成功させるために必要なツールを紹介していきます。

主なツールには以下のようなものがあります。

データドリブンマーケティングに役立つツール
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)様々なシステムと連携し、顧客のデータを収集・集約して管理することができるBI(ビジネスインテリジェンス)大量なデータを分析・可視化し、経営の意思決定をサポートするWeb解析ツール自社WEBサイトへ訪問した人の行動などを解析できるMA(マーケティングオートメーション)顧客の獲得・育成のためのマーケティグや営業活動を自動化することができるSFA(営業支援システム)営業の商談から受注までの進捗を可視化することができるCRM(顧客関係管理)顧客情報(属性や自社との接触履歴、購買履歴など)を一元管理することができる

中でも、データドリブンマーケティングを行う上で最も重要と言っても過言ではないのが、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)です。

CDPとは、顧客のデータを収集・集約・蓄積する役割を持ったデータプラットフォームです。自社のWebサイトに訪問して問い合わせや申し込み、資料DLなどを行ってくれた顧客に関するデータ(ファーストパーティ データ)などを取得して扱うことができます。

このツールは、MAやCRMなど他の複数のシステムのデータと連携することで、以下のような情報を統合的に管理できるため、効率的なマーケティングに非常に有効だといえるでしょう。

CDPで取り扱うデータの例
顧客の個人情報(氏名、居住地、性別など)WEBサイト上での行動(いつどのメールを開封し自社サイトに遷移したか)アンケートへの回答状況購入履歴

データは、別々のシステムで保有しているとそのままでは活用することができません。

そのため、そういったデータを集約して分析することを助けてくれるCDPは、データドリブンマーケティングを実現する上で非常に重要なツールなのです。

「これからCDPを導入したい」という人に特におすすめなのは、チーターデジタルの「Relationship Marketing」です。

このツールは、従来のCDPを超えた機能を有しています。特徴は以下の通りです。

Relationship Marketingの特徴
顧客レベルや行動履歴などのデータをすべて1か所に集約できる高度でカスタマイズ可能なレポートとダッシュボードがあるため、キャンペーンのパフォーマンスや顧客の行動に関するデータをすぐに分析することができる機械学習機能によって、顧客が最も望むオファーを提供することが可能内部システム、広告プラットフォーム、パートナーエコシステム間などでデータを簡単に連携することができる

このように、データ収集や分析、レポート、顧客へのアプローチ等をすべて自動で行うことが可能であるため、自社の顧客に合った理想的なマーケティング活動を実現させることができます。

→詳しくはこちらのページをご覧ください。

8.まとめ

データドリブンマーケティングとは、ユーザーの行動履歴や売上などのデータをもとに意思決定をして、マーケティングや経営活動を行うことでした。

この記事では、データドリブンマーケティングに関心がある人に向けて以下の内容を解説しました。

データドリブンマーケティングが重要な理由
ユーザーの多様化に対応したマーケティングが必要だから自社に適した施策の実現に必要だから顧客ロイヤルティの向上に役立つから費用対効果が良いから
データドリブンマーケティングの基本の流れ
データ収集データ可視化データ分析施策決定・実行効果測定

さらに、データドリブンマーケティングの活用事例を3つ紹介した後、よくある失敗と注意点についても以下のようにお伝えしました。

データドリブンマーケティングでよくある失敗
データ収集のみにとどまりうまく活用できない現場がついていけない
データドリブンマーケティングを成功させるための注意点
データを収集できるか事前にしっかり検討する適切なツールを導入する

さらに最後には、データドリブンマーケティングを成功させるために必要なツールも具体的に紹介しました。

最後までお読みいただいたことで、データドリブンマーケティングの概要を把握することができ、自社が導入する場合のイメージも具体的に持つことができるようになったのではないでしょうか。

データドリブンマーケティングは、どのようなビジネスにも活用できる有用な手法です。失敗なく取り入れることで、理想のビジネスを実現させていきましょう。

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