この記事をお読みになっている方は、cookieの利用が規制されることを耳にしたものの
- cookieの規制対象は何か
- cookieの規制によってどのような影響を受けるのか
- cookieはなぜ規制されるのか
といった詳しい内容が分からず、今後どのような対策を取るべきか、お悩みになっているのではないでしょうか。
詳しくは後述しますが、cookieには「ファーストパーティ cookie」と「サードパーティ cookie」の2種類があり、規制されるのは後者の「サードパーティ cookie」です。
このサードパーティー cookieの利用が規制されると次の3つの影響が生じると考えられますが、最も大きい影響は「リターゲティング広告を配信できない」ことです。
しかし、上記の影響を受けても行える対策はあるため、悲観する必要はありません。次の4つがその対策ですが、最も有効なのは「ゼロパーティデータを活用したマーケティングを行うこと」になります。
今から対策を行っておけば、サードパーティ cookieの規制が加速しても効果的なマーケティングを行えるようになります。
この記事では、cookieの規制について以下のことをまとめて説明していきます。
- cookie規制の基礎知識(規制対象と影響、規制の背景)
- サードパーティ cookieの規制に対して行える対策
- サードパーティ cookieの規制に伴い今後注意すべきこと
この記事を読んでいただくと、
- サードパーティ cookieの規制によってどのような影響が生じるのか
- サードパーティ cookieの規制に伴ってどのような対策を行えるのか
といったことをお分かりいただけます。
「cookieの規制によって、今後どのような施策を行えるのか?」と不安に感じる方も多いと思いますが、そんなマーケターの方がcookie規制の知識を得て、自社に合う対策を講じる手助けとなれば幸いです。
1. cookie規制の基礎知識
cookieというのは、自社のWebサイトを訪問したユーザー情報を一時的にWebサイトのサーバーに記録する仕組みのことです。
Webサイトの利便性を上げる仕組みのためユーザーにとってメリットがあるものですが、マーケターの方にとっても便利なものです。この記事をお読みになっている方は、cookieを活用した広告配信・マーケティングを行っているのではないでしょうか。
ユーザー側のメリット(例) | マーケター側のメリット(例) |
・Webサイトのログイン時にIDの入力を する必要がない・通販サイトで後で購入しようと思って カートに入れた商品が、再度ログイン したときに残っている(再び商品を探す 必要がない) | ・自社のWebサイトを訪問したユーザー 行動情報が分かり、ユーザーの興味に 合う広告を配信できる・自社のWebサイトを訪問したユーザーの 訪問回数が分かり、アクセス解析に活用 できる |
しかし2020年1月、Googleが標準ブラウザ・Chromeでcookieの利用を2022年1月までに段階的に規制していくことを発表し、耳にした方も多いでしょう。
cookieの規制はGoogleだけでなく、以下のようにブラウザ業界で近年加速しています。
年 | 対象ブラウザ | 概要 |
2019年 | Firefox※Mozillaの標準ブラウザ | 既定で無効になっている |
2020年3月 | Safari※Appleの標準ブラウザ | 既定で無効になっている |
集客に便利なcookiの利用が規制されると、今後どのような対策を取るべきか、頭を抱えてしまいますよね。
本章では、まずcookieの規制について知識を深めていただくために、
- cookieの規制対象
- cookieの規制で生じる影響
- cookieの規制が進んでいる背景
の3つを説明していきます。
1-1. cookieの規制対象
冒頭でも触れましたが、cookieには「ファーストパーティ cookie」と「サードパーティー cookie」の2種類があり、規制の対象となるのは後者の「サードパーティー cookie」です。両者の違いは以下の通りです。
発行元 | 記録されるもの(例) | |
ファーストパーティ cookie | ユーザーが訪問しているWebサイトのサーバー | ・Webサイトのログイン情報・通販サイトのカートの商品 → 自社で把握できる情報 |
サードパーティ cookie | ユーザーが訪問しているWebサイト以外のサーバー(広告配信サーバーなど) | ユーザーの行動情報(訪問先のWebサイトなど) → 自社で把握できない情報 |
ファーストパーティ cookieはユーザーが訪問しているWebサイトのサーバーから発行されるため、ユーザーがcookieを無効にしなければ取得が可能です。
一方サードパーティ cookieは、広告を配信するサーバーといったユーザーが訪問しているWebサイト以外のサーバーから発行されます。たとえばリターゲティング広告を配信する施策を行っているときに活用するユーザーの行動情報は、このサードパーティ cookieから得たものになります。
前述したAppleのSafariとMozillaのFirefoxでは、サードパーティ cookieを既定で無効化しています。そしてGoogleのChromeは、段階的にサードパーティ cookieの利用を規制していくと発表しているのです。
1-2. サードパーティcookieの規制で生じる影響
サードパーティcookieの規制で生じる影響として挙げられているのが、次の3つです。
1-2-1. リターゲティング広告を配信できない
最も大きい影響は、「リターゲティング広告を配信できない」ことです。かつて自社商材を購入/利用したことがあるユーザーに対し、他のWebサイトを訪問したときに自社商材の広告を表示する施策が該当します。
cookieの規制が行われるとリターゲティング広告を配信できなくなるのは、リターゲティング広告が配信される仕組みにあります。リターゲティング広告で活用されるユーザーの行動情報は、サードパーティ cookieから得られるものだからです。
【リターゲティング広告の仕組み】
上記を見てお分かりいただけるように、リターゲティング広告はサードパーティ cookieで得たユーザーの行動情報を利用し、ユーザーの動きを追跡して配信されます。
サードパーティ cookieの利用が規制されれば、こうしたリターゲティング広告を特定のユーザーに配信することは当然ながらできなくなります。
とはいえ、サードパーティ cookieの利用規制は段階的に行われるため、しばらくの間はリターゲティング広告を配信することはできるのでは?と思われるかもしれません。
しかし、後述することですが、今は世界的にプライバシー対策が強化されているため、ユーザーの行動情報を活用するリターゲティング広告を配信するマーケティングは通用しなくなる恐れがあります。
これまでリターゲティング広告の配信でマーケティングを行っていた場合は、今後
- サードパーティ cookieを利用しないマーケティング
- リターゲティングに依存しないマーケティング
といったような施策へのシフトが重要なことの1つになります。
1-2-2. オープンDMPを活用したターゲティングができない
2つ目の影響は「オープンDMPを活用したターゲティングができない」ことです。
DMP(Data Management Platform:データ マネジメント プラットフォーム)は、インターネット上にあるユーザー情報を収集し管理できるプラットフォームです。
特徴 | 収集・管理されるユーザーの情報(例) | |
プライベートDMP | 自社で取得したユーザー情報を管理 | ・ユーザーの商材購入/利用履歴・ユーザーの興味 → 自社で把握できる情報 |
オープンDMP | 自社以外の機関から取得したユーザー情報を管理 | ・ユーザーの年齢や性別などの 属性・ユーザーの行動履歴 → 自社で把握できない情報 |
2つのDMPの中でもオープンDMPでは、上記のようにユーザーの属性や行動履歴といった自社では把握できない情報を収集・管理できるため、ユーザー一人ひとりに合ったマーケティングを行えます。
オープンDMPを活用し、広告を配信するプラットフォーム・DSP(Demand-Side Platform:ディマンド サイド プラットフォーム)を使って、ターゲティング広告を配信しているマーケターの方もいるのではないでしょうか。
しかし、このオープンDMPを活用してターゲティング広告を配信している場合も、サードパーティ cookieが規制されるとその施策は行えなくなります。活用されるユーザー情報は、サードパーティ cookieから得られるものだからです。
サードパーティ cookieが規制されれば、DMPを活用した
- 自社の商材に興味のあるユーザーに絞っての広告配信
- 自社の商材を購入/利用したユーザーと似たような行動をするユーザーへの広告配信
といったターゲティングが行えなくなるため、サードパーティ cookieに依存しないマーケティングを行うことが求められます。
1-2-3. ビュースルーコンバージョンを計測できない
3つ目の影響は、「ビュースルーコンバージョンを計測できない」ことです。
ビュースルーコンバージョンは、ユーザーが自社の広告を見てもクリックしなかったものの、後に自社サイトを再訪して商材の購入/利用につながったことを計測できるため、配信した広告効果を測るために活用しているマーケターの方も多いでしょう。
サードパーティ cookieの規制によってこのビュースルーコンバージョンが計測できなくなるのは、ビュースルーコンバージョンはサードパーティ cookieから得られるユーザーの行動情報によって計測されるからです。
【ビュースルーコンバージョンが計測される仕組み】
サードパーティ cookieの規制でビュースルーコンバージョン計測ができなくなれば、ユーザーの印象に残る広告クリエイティブをどうすべきかを分析する材料を得られなくなります。
後述することですが、ユーザーにとって効果的な広告を配信するためには、Googleが考案しているサードパーティ cookieに代わる技術を利用することが有効といえます。
しかし、この代替技術は開発段階のため、すぐに活用できるわけではありません。サードパーティ cookieに依存しないマーケティングが、最も早く行える対策になるといえます。
1-3. cookieの規制が進んでいる背景
cookieの規制が進んでいるのは、世界中でプライバシー問題への意識が高まっており、その対策が強化されている背景があるからです。
以下は、そのプライバシーに関する法律や対策の例です。
プライバシーに関する法律・対策の例 | 概要 |
ITP(Intelligent Tracking Prevention) | Appleが2017年に標準ブラウザ・Safariに搭載したトラッキング防止機能。ユーザーのプライバシーを保護することを目的としている。 2017年にリリースされて以来、段階的にサードパーティ cookieを無効化し、今は全てのサードパーティ cookieが無効化されている。 |
GDPR(General Data Protection Regulation) | EUで2018年に施行された「一般データ保護規則」のこと。 これまで個人情報と見なされなかったcookieが個人情報と見なされ、cookieを取得するときはユーザーの同意を得なければならない。 |
CCPA(California Consumer Privacy Act) | アメリカ・カリフォルニア州で2020年に施行された「カリフォルニア州消費者プライバシー法」のこと。 企業が取得した個人情報(cookieを含む)がどのように使われているのか、カリフォルニア住民からの要求に応じて情報を開示しなければならない。 開示された情報が住民の意に反する場合は、企業は削除する必要がある。 |
個人情報保護法の改正 | cookieは「個人関連情報」と定められているのが現状だが、他の情報との照合によって個人を特定できる場合は個人情報として扱われる。 個人情報となり得る場合は、ユーザーの同意を得ていることを確認しなければならない。 |
ATT(App Tracking Transparency) | Appleが2021年に導入を検討しているユーザーのプライバシー保護を目的としたフレームワーク。 iOS端末の広告識別子であるIDFAを取得する際、これまではユーザーが拒否を設定していなければ取得ができたが、ATTが導入されるとIDFAを取得するときにユーザーの許可が必要になる。 ターゲティングや新規ユーザーの獲得などに影響が出る。 |
サードパーティ cookieを利用することで、マーケターはマーケティングに活用できるユーザーの行動情報を取得できるわけですが、ユーザーにとってはメリットとなり得ないこともあります。「自分の情報が許可なく使われていた」ことを意味し、人によっては「プライバシーを侵害した」と嫌悪感を抱くからです。
今は、インターネットで誰もが情報を発信できる時代のため、個人情報も漏えいしやすくなっています。そういった時代だからこそプライバシー対策が世界的に重要視されており、広告マーケティングにおいても求められるようになってきているのです。
2. サードパーティcookieの規制に対して行える4つの対策
インターネット広告の施策を行ってきたマーケターの方にとって、サードパーティ cookieの利用が規制されるのは悩ましいことでしょう。
しかし、インターネットによるマーケティングが全く行えなくなるわけではありません。
サードパーティ cookieの利用が規制されても、行える対策はあります。その対策というのが、次の4つです。
2-1. ゼロパーティデータを活用したマーケティングを行う
最も効果的な対策といえるのが、ゼロパーティデータを活用したマーケティングです。
これまでサードパーティ cookieを使ったマーケティングを行ってきた方にとっては、聞き慣れないかもしれません。
ここで、このゼロパーティデータを活用したマーケティングついて、
- ゼロパーティデータとは何か
- ゼロパーティデータを活用したマーケティングのメリット
- ゼロパーティデータを活用したマーケティングの事例
の3つを踏まえて説明していきましょう。
2-1-1. ゼロパーティデータとは
ゼロパーティデータとは、サードパーティ cookieから得られるユーザーの情報とは異なり、ユーザーが申告する自身の情報のことです。
- ユーザーの心理
- ユーザーの好み(趣味嗜好)
など、サードパーティ cookieでは取得できない深いレベルのユーザー情報を指します。
- 投票の実施
- アンケートの実施
- ユーザー参加型のイベントの開催
- コンテストの開催
- ブランドのロゴ入り商品などの無料販促品の配布(ギブアウェイ)
といったようなユーザーとブランド(企業)が直接接点を持つ方法で、ユーザーが能動的に提供した自身の情報から取得できるものです。
2-1-2. ゼロパーティデータを活用したマーケティングのメリット
ゼロパーティデータは自己申告による情報のため、
- ユーザーがどのような気持ちで商材を購入/利用しているのか
- ユーザーはどのような商材を好むのか
といったように、ユーザーの心理や好みを深掘りして詳細に知ることが可能です。ユーザーの同意がある上で収集されるため、マーケターの方はプライバシーの問題を気にすることなく、ユーザー一人ひとりの趣味嗜好に合ったマーケティングを行えるようになります。
また、ユーザー参加型のイベントや無料販促品の配布といったようなユーザーにも価値のある方法でゼロパーティデータを収集すれば、ブランド(企業)への愛着を持たせることも可能になります。
ゼロパーティデータを活用してユーザーに合ったマーケティングを行えるようになれば、ユーザーも「自分の興味・関心を分かってくれるブランド(企業)である」と好印象を持ち、顧客ロイヤルティを高めることにもつながるのです。
2-1-3. ゼロパーティデータを活用したマーケティングの事例
以下は、ゼロパーティデータを収集してマーケティングを行った動物の情報番組『アニマルプラネット』の事例です。
ゼロパーティデータの収集目的 | 番組のプロモーションを適切な視聴者に行う |
実施した施策 | ユーザーが飼っているペットのトレーディングカードを作れる参加型コンテンツを提供 |
ゼロパーティデータの収集方法 | サイトでカードのフォーマットを選び、・ペットの写真・ペットの名前・ペットの好きな食べ物 などを登録する |
ユーザーにとっての価値ある体験 | トレーディングカードのURLが生成される |
『アニマルプラネット』では上記のマーケティングを行ったことで、
- 番組をプロモーションすべきユーザーの特徴を理解
- トレーディングカードのURLがSNSにシェアされることで新たなユーザーを獲得
といったことができるようになりました。
ユーザーにとっては、自身が買っているペットのトレーディングカードを作成できるという価値のある体験を味わえたことになります。
上記の事例については「“ポストCookie時代”に顧客関係を強化する、ゼロパーティデータとは?」で動画付きで詳しく説明していますので、ご覧になってみてください。
これまでサードパーティ cookieを活用したマーケティングを行ってきた方にとっては「ゼロパーティデータを活用したマーケティング」と聞いても難しく感じるかもしれません。
しかし、ゼロパーティデータを活用したマーケティングは、cookieが使えなくなる時代(ポスト cookie時代)に有効であると注目されているため、検討する価値は十分にあります。
チーターデジタルでは、ゼロパーティデータの活用方法を記したeBook『次世代マーケターのためのゼロパーティデータを活用ガイド』を無料でご提供しています。
- ゼロパーティデータを活用したマーケティングに興味を持った
- ゼロパーティデータを活用したマーケティングの知識を深めたい
という方は、ぜひダウンロードしてご覧になってみてください。
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2-2. コンテキストターゲティングを行う
2つ目の対策は、コンテキストターゲティングを行うことです。
サードパーティ cookieの規制は2022年1月までに段階的に行われるため、現時点(2021年6月時点)では全く利用できないわけではありません。
しかし、「1-3. cookieの規制が進んでいる背景」でも説明したように、世界的にプライバシー対策が加速しているため、今からサードパーティ cookieを利用しないマーケティングに移行することが求められています。
そのサードパーティ cookieを利用しないマーケティングとして、今特に注目されているのがコンテキストターゲティングなのです。
2-2-1. コンテキストターゲティングとは
コンテキストターゲティングとは、ユーザーが見ているWebサイトの文脈(コンテキスト)に合う広告を配信する施策のことです。AIがWebサイトのテキストや画像などを分析し、どのWebサイトに広告を配信するかを決めていきます。
コンテキストターゲティングによる広告配信は、コンテキスト広告配信サービスやプラットフォームを利用して行います。広告が配信されるまでの流れは、以下の通りです。
- 広告を表示したいWebサイトのキーワードを決める
- コンテキスト広告配信サービスやプラットフォームが、AIによるWebサイトの分析を行う
- 1で設定したキーワードと2によって分析されたWebサイトの文脈が合えば、広告が配信される
2-2-2. コンテキストターゲティングのメリット
冒頭でも触れましたが、コンテキストターゲティングではサードパーティ cookieは使われません。特定のユーザーの行動情報をもとにしたターゲティングではないため、プライバシーの問題を気にすることなく広告を配信することが可能です。
また、リターゲティング広告と比べるとユーザーの興味・関心の高い広告を配信でき、広告疲れを防げることもメリットとして挙げられます。ユーザーが見ているWebサイトと関連性の高い広告が配信されるためです。
リターゲティング広告というのは、かつて自社商材を購入/利用したことがあるユーザーに対し、他のWebサイトを訪問したときに自社商材の広告を表示するため、ユーザーの興味・関心に合う広告を配信できる施策とはいえます。しかし、他のWebサイトを訪問しているときに、その前に見ていたブランドの広告が何度も表示されると、ユーザーにとってはわずらわしく感じることもあります。
コンテキストターゲティングはユーザーが見ているWebサイトと関連性の高い広告を配信する施策のため、ユーザーの興味を引きやすく、わずらわしさを与えることもありません。
2-2-3. コンテキストターゲティングの例
「2-2-1. コンテキストターゲティングとは」で説明した通り、コンテキストターゲティングで広告を配信するには、まず広告を表示したいWebサイトのキーワードを決めていきます。
配信したい広告 | キーワードの例 | 配信先のWebサイトの例 |
クレンジングの広告 | ・メイク落とし・クレンジング・スキンケアアイテム | ・美容に関する情報を発信している メディア・スキンケアアイテムを紹介している メディア |
スニーカーの広告 | ・ランニング・スポーツシューズ | ・ランニングに関する情報を発信して いるメディア・スポーツに関する情報を発信して いるメディア |
上記のように、配信したい広告に関連するキーワードを設定するがポイントになります。広告は、設定したキーワードと関連性が高いWebサイトに配信されます。
コンテキストターゲティングによる広告配信は以前から存在しており、従来は設定したキーワードと関連性が高いWebサイトに広告は配信されていました。リターゲティングを行ってきた方もご存知かもしれません。
しかし、サードパーティ cookieの規制が加速している現在、コンテキストターゲティングによる広告配信は精度が高まっており、設定したキーワードと一致したWebサイトに配信することも可能になっています。2020年12月にPR TIMESから配信されたプレスリリースによると、広告プラットフォームを提供しているログリーがこのようなコンテキストターゲティングを「LOGLY lift」というプラットフォームで実現しています。
リターゲティングのようなユーザーの興味・関心に合う広告を、プライバシーの問題を気にすることなく配信できるコンテキストターゲティングは、今後マーケターの方にとって良い施策となるでしょう。
2-3. サードパーティ cookieに代わる技術を利用する
3つ目の対策は、サードパーティ cookieに代わる技術を利用することです。
サードパーティ cookieの規制を段階的に行うことを発表したGoogleですが、2021年1月に標準ブラウザ・Chromeにてサードパーティ cookieに代わる技術として「Privacy Sandbox」(プライバシー サンドボックス)を考案しています。
Privacy SandboxではAI技術の活用により、
- ユーザーの属性を分析しグループ分けされた情報がブラウザから送られる
- 広告配信サーバーからコンバージョンにつながる広告をグループごとに配信する
といったことが可能になるといわれています。サードパーティ cookieの活用によって行えた
- ユーザーの興味や関心が高い広告の配信
- コンバージョン計測
といったことを、ユーザーを特定して追跡しないことで行えるようになるのです。
Privacy Sandboxを使った取り組みは試験運用中のため、すぐにこの技術を活用したマーケティングを行えるわけではありませんが、サードパーティ cookieを活用したマーケティングと類似した施策を行えることを期待できるため、利用を検討するのも良いといえます。
Privacy Sandboxの最新情報はGoogle Japanのブログで公開されているので、活用を検討する場合は常にチェックすることをおすすめします。
2-4. 自社でユーザーを識別する技術を開発する
4つ目の対策は、自社でユーザーを識別する技術を開発することです。
ユーザーを識別する技術を開発する例としては、
- ユーザーがWebサイトへ会員登録したときの情報をIDにする
- ユーザーのメールアドレスをIDにする
- ユーザーのIPアドレスをIDにする
といったものがあります。ユーザーを識別する技術を開発している例が、広告を配信するプラットフォームDSPの大手企業・The Trade Deskの「Unified ID 2.0(ユニファイド ID 2.0)」です。
Unified ID 2.0はユーザーのメールアドレスをIDにする技術です。付与されたIDはユーザーの同意を得られると広告配信の識別子として活用され、同意を得られたら広告を配信できる仕組みです。
2020年11月にPR TIMESから配信されたプレスリリースによると、The Trade DeskはこのUnified ID 2.0を広告会社がユーザーの識別子として共通で活用できるように開発を進めているようです。このようなユーザーを識別する技術を開発すれば、サードパーティ cookieが規制されることで最も影響を受けるリターゲティング広告を行うことも可能になるでしょう。
こうした技術はユーザーを識別できるようになるため、そのユーザー情報の取り扱いに注意する必要があるのは忘れてはなりませんが、サードパーティ cookieの規制が進んでもリターゲティング広告を行えることは、ブランド(企業)にとっては有効といえます。
3. サードパーティcookieの規制に対して行える対策一覧
ここで、ここまで説明してきたサードパーティ cookieの規制に対して行える対策をまとめます。
「2. サードパーティcookieの規制に対して行える4つの対策」で説明したように、最も有効な対策はゼロパーティデータを活用したマーケティングです。サードパーティ cookieの規制の影響を受けず、ユーザーのプライバシー問題を気にすることなくマーケティングを行えます。ユーザーからの同意を得た情報を活用するため、その情報の扱いに頭を悩ますことも減るでしょう。
ただし、達成したい目標によっては、他の対策が適切な場合もあります。上記を参考にしていただき、どのようなことを実現したいのかを明確にし、その内容に合う対策を選ぶのがおすすめです。
4. サードパーティcookieの規制に伴い今後注意すべき3つのこと
サードパーティ cookieの規制に伴い行える対策をしただけでは安心はできません。なぜなら、cookieの取り扱いについてはこの先も変わっていくことが予想されるからです。
今後は、
- ファーストパーティcookieも規制される恐れがある
- 個人情報保護法に準拠してcookieを取り扱う
- cookie規制に対する海外の動向を見逃さない
の3点を注意してマーケティングを行うことが重要になります。1つずつ説明していきましょう。
4-1. ファーストパーティcookieも規制される恐れがある
ファーストパーティ cookieも規制される恐れがあることは注意しなければなりません。
実は、Appleでは標準ブラウザ・Safariに搭載したトラッキング防止機能ITPはファーストパーティ cookieについても規制を行うことを発表しています。この動きに伴って、Googleもファーストパーティ cookieを規制する決定をする可能性があるといっても過言ではありません。そうなると、「2. サードパーティcookieの規制に対して行える4つの対策」で説明したようなマーケティングを行うことが、今後より求められることになります。
今後、サードパーティ cookieとファーストパーティcookieの両方の規制について、動向はチェックしておくことが非常に重要です。
4-2. 個人情報保護法に準拠してcookieを取り扱う
個人情報保護法に準拠してcookieを取り扱うことも注意したい点です。
「1-3. cookieの規制が進んでいる背景」でも説明した通り、個人情報保護法においてcookieは、現時点では「個人関連情報」として扱われています。
しかし、
- 他の情報との照合によって個人を特定できる場合は個人情報として扱う
- 個人情報となり得る場合は、ユーザーの同意を得なければならない
と定めていることを忘れてはなりません。たとえばDMPで得たcookieを自社が持つ個人情報と照合させたことによって個人を特定できる場合は個人情報となります。この情報をマーケティングで利用する場合は、ユーザーの同意を得なければなりません。
個人情報保護法においてcookieは「個人情報」ではないため、ユーザーの許可なく利用しそうになるかもしれませんが、取り扱いには注意しながらマーケティングを行っていくことがポイントになります。
4-3. cookie規制に対する海外の動向を見逃さない
cookieの規制に対する海外の動向にも注意しましょう。
日本の個人情報保護法においてcookieは、自社が持つ個人情報と照合させたことによって個人を特定できる場合に個人情報となりますが、海外では
- ヨーロッパ:cookieを利用するにはユーザーの同意が必要
- アメリカのカリフォルニア州:cookieの使用用途が住民の意に反する場合は削除が必要
といったように、cookie対する取り扱いが異なるのは前述した通りです。特に、日本だけでなく海外のユーザーにもマーケティングを行っている場合は、cookie規制に対する動向は見逃せません。
cookieの規制に対する海外の動向情報は、以下のメディアで知ることができます。
情報発信元 | 概要 |
日経クロストレンド | 「マーケ・消費」「技術・データ」「イノベーション」「中国・米国」の4つに関する情報を配信。 海外のcookie規制に関する動きやcookieに代わる技術の開発状況など、マーケティングから技術まで幅広い動向とトレンドをチェックできる。 |
MarkeZine(マーケジン) | デジタル広告やマーケティングに関する情報を配信。 毎日配信されているため、海外のcookie規制に関する動きがあればリアルタイムで知ることができる。 |
PR TIMES | 国内外の企業のプレスリリースを配信。 海外のマーケティング企業や広告会社のcooki規制に対する動きを見ることができる。 |
cookieの規制に対しては海外から強化されているため、動向は常にチェックすることが重要です。
5. cookie規制によるマーケターの課題を解決するチーターデジタルのソリューション
ここまでお読みになって、サードパーティ cookieの規制に伴い自社で行える対策を考えるヒントを得ていただけたら幸いです。
ただ、これまでサードパーティ cookieを利用したマーケティングをメインで行ってきた方にとっては、具体的な対策が分かっても、これから新しいマーケティングを考えるのは頭を抱えることかもしれません。
チーターデジタルのソリューション「Marigold Grow」は、そんなマーケターの方のサポートをいたします。
Marigold Growは、「2. サードパーティcookieの規制に対して行える4つの対策」で取り上げた、サードパーティ cookieの対策で最も有効なゼロパーティを活用したマーケティングを支援する製品です。
- 投票やアンケートなどのブランド体験をカスタマイズしながら大規模なゼロパーティデータを収集
- 小さな広告から大型スクリーンまで、ユーザーの目にブランドが留まりやすい機会を提供
- 収集したゼロパーティデータを使い、ユーザー一人ひとりに合ったキャンペーンを推進
- ユーザーの許諾済のデータを収集し、ブランドとのユーザーのセキュリティを保護できるように保証
といったような、ゼロパーティデータを活用し、実用的なユーザー情報とユーザーの好みに関するインサイトの収集を実現します。
マーケターの方がユーザー一人ひとりに合ったインタラクティブな体験を構築して提供する支援しておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ
cookieの規制は、「ファーストパーティ cookie」と「サードパーティー cookie」の2種類のうち後者の「サードパーティー cookie」が対象です。
サードパーティー cookieの利用が規制されると以下3つの影響が生じると考えられますが、最も大きい影響は「リターゲティング広告を配信できないこと」です。
ただ、サードパーティ cookieの利用が規制されても行える対策はあります。中でも「ゼロパーティデータを活用したマーケティング」は、cookieが使えない時代に最も有効といえます。
マーケティングではサードパーティ cookieの規制に伴う対策を行いながら、以下3つのことを注意していくことも大切になります。
- ファーストパーティcookieも規制される恐れがある
- 個人情報保護法に準拠してcookieを取り扱う
- cookie規制に対する海外の動向を見逃さない
今後のcookie規制の動きを注視しながら、効果的なマーケティングを行っていきましょう。