「マーケティングオートメーションは導入した方が良い?」
「うちの会社に本当に必要なのか、判断に迷う」
マーケティングオートメーションが2014年に日本市場に上陸してから7年となり、導入する企業も増えてきました。
一方で、「本当に必要なのか」と迷う声も多く聞かれます。
あなたの会社でも、マーケティングオートメーションを導入するか否かと、話題に上ることが増えているのではないでしょうか。
そこで本記事では、マーケティングオートメーション導入検討中の方の判断材料として重要な情報をまとめました。
本記事のポイント
● そもそも導入検討する前に整理すべき事項から解説
● マーケティングオートメーションのメリット・デメリットがわかる
● 導入の流れや成功のポイントまで網羅
「マーケティングオートメーションを導入するか、判断したい」
…という方におすすめの内容となっています。
結論からいえば、マーケティングオートメーションは多くの企業にとって有益なツールではありますが、ビジネスモデルや社内状況によっては、導入を見送った方が良いケースもあります。
詳しくは続けて本文をご覧ください。
1. そもそもマーケティングオートメーションとは?基礎知識
まずは「そもそもマーケティングオートメーションとは何か?」という基礎知識から見ていきましょう。
1-1. マーケティングオートメーションの概要
マーケティングオートメーション(MA、エムエー)とは、マーケティング活動における、特に“マーケティングコミュニケーション”の分野を自動化するためのデジタルツールです。
マーケティングコミュニーションでは、適切な顧客に、適切なタイミングで、適切なメッセージを、適切なチャネルを通して届ける必要性があります。
この“適切な●●”の見極めから実行までをデジタルテクノロジーによって実現するのが、マーケティングオートメーションといえます。
1-2. 単に省人化するだけでなくOne to Oneの実現に寄与する
多くのデジタルツールは、業務効率化を目的として企業に導入されます。
マーケティングオートメーションも例外ではなく、多くの作業をシステム的に自動化することで、省人化が可能です。
ただしポイントは、単に省人化するだけでなく、“マーケティング活動そのもの”のレベルを向上させる効果が期待できる点です。
マーケティングオートメーションの導入メリットについて詳しくは後ほど「2. マーケティングオートメーション導入のメリット(強い分野)」にて解説しますが、マーケティングオートメーションを利用すると、顧客全体へまとめた一括アプローチではなく、顧客個人(一人ひとり)に最適化した個別のアプローチが可能になります。
つまり、顧客一人ひとりに合わせたマーケティング(=One to Oneマーケティング)の実現を助けるのが、マーケティングオートメーションなのです。
2. マーケティングオートメーション導入の判断材料として押さえるべき5項目
「自社でマーケティングオートメーションを導入すべきか、迷っている」
という場合、適切な判断をするためにまずすべきことは“適切な判断材料をそろえること”です。
まずは、次の5項目を整理するところから始めましょう。
- 目的
- 目指す成果
- かけられるコスト
- 導入期限
- 人的リソース
それぞれ解説します。
2-1. 目的
1つめの項目は「目的」です。
まず何を置いても時間をかけて明確にすべき項目が、この目的になります。
目的設定の良し悪し次第で、マーケティングオートメーション導入が成功するか・失敗するかが左右されます。
にもかかわらず、目的設定は形式ばかりでおざなりにされがちです。
▼ よくある機能しない表面的な目的の例
- 新規顧客の獲得
- 事業拡大
- 既存顧客の強化
→どれも当たり前のことを言っているだけで具体性・明確性に欠ける。
マーケティングオートメーション導入の必要性や適したツールを考えるうえで手がかりになる情報がないため、機能しない。
ここはぜひ意識して、“機能する目的”を設定しましょう。
機能する目的とは何か?といえば、「Why?」を表したものです。すなわち、「なぜ」「何のために」マーケティングオートメーションを導入するのかを明らかにしましょう。
設定例 |
今後の事業拡大を見据え、少人数でマーケティング業務を遂行できる体制を構築する。 見込顧客のナーチャリングを強化し、新規顧客の獲得数を増大させる。 顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションの実現によって、顧客ロイヤルティを向上させる。 |
2-2. 目指す成果
2つめの項目は「目指す成果」です。
前項で設定した目的を数値目標に置き換えて、具体的にどんな成果物を得たいのか、客観的な指標として設定します。
成果を客観的な指標として設定するコツは、「数字」で表現することです。
測定可能な数字の目標を目指す成果として明確にすることは、導入前から導入後まで、正しくツールや実行結果を評価するために役立ちます。
設定例 |
顧客数が現在の10倍の10万人になっても現在の人員のままで業務遂行できるようにする。 現在10%の新規顧客転換率を150%UPの15%にする。 現在8%のチャーンレート(解約率)を5%にする。 |
2-3. かけられるコスト
3つめの項目は「かけられるコスト」です。
目的と目指す成果に対して、どこまでのコストを許容できる、導入前に経費予算を設定しておきます。
あらかじめ予算を設定していないと、ツール選定時に迷いが生じたり、運用開始してから予算オーバーに気付くといった問題が起きます。
どこまでのコストを許容できるかを正しく検討するためには、先にご紹介した目的と目指す成果(目標)を克明に設定しておくことが大切です。
逆にいえば、目的・目標さえ正しく設定できれば、おのずとどれだけのコストをかけて良いか、算出できるはずです。
設定例 |
導入費用:300万円 運用費用:20万円/月 |
注意点
どんなマーケティングオートメーションを導入するかにもよりますが、一般的に「導入費用(イニシャルコスト)と「運用費用(ランニングコスト)」の2種類のコストがかかります。
- 導入費用:最初に発生する初期構築の費用
- 運用費用:毎月継続的に発生する保守運用やサービス利用料
予算設定の際は、導入費用と運用費用それぞれを分けて設定しておきましょう。
2-4. 導入期限
4つめの項目は「導入期限」です。
マーケティング戦略や他のシステムとの連携などの問題で、導入のデッドライン(締切)が決まっている場合は、最初に明確にしておく必要があります。
もし、明確な期限がない場合でも、「いつまでに」はあらかじめ決めておきましょう。デッドラインが設定されていないプロジェクトは往々にして後回しにされ、仕事の質が落ちる傾向にあるからです。
設定例 |
2022年3月31日までに導入完了する。 |
2-5. 人的リソース
5つめの項目は「人的リソース」です。
マーケティングオートメーション導入の業務自体に、どれだけの人的リソースを割けるのかも明確にしておく必要があります。
というのは、社内で準備できない分のリソースは、外部の支援企業に委託するなどの対応を考えなければならないからです。
誰が、いつからいつまで、どの程度携われるのか、あらかじめ整理しておきましょう。
設定例 |
マーケティング部の佐藤マネジャーをリーダーとする3人のプロジェクトチームを2021年9月から発足する(期限は導入完了まで)。 プロジェクトチームのメンバーは全業務の10%のリソースを本プロジェクトに投入する。 |
3. マーケティングオートメーション導入のメリット(強い分野)
前章で整理した目的や背景に対して、“マーケティングオートメーション導入”がベストソリューションであるか判断するためには、どんなメリット・デメリットがあるのか、理解していなければなりません。
まずはメリットから見ていきましょう。
- 自動化によって効果的なコミュニケーションを実現できる
- 高度な顧客管理が可能になる
- 社内に散らばるデータを横断分析できる
3-1. 自動化によって効果的なコミュニケーションを実現できる
1つめのメリットは「自動化によって効果的なコミュニケーションを実現できる」ことです。
顧客へのアプローチを手作業で行うと、抜け漏れの発生や担当者による質の差といった問題が発生します。
▼ 手作業による問題の例
- フォローアップが必要な顧客への連絡を担当営業が忘れる
- 成約に近い顧客を見誤って競合他社に奪われる
- マーケティング担当者の勘によって顧客対応の優先順位が決められている
これらを自動化することで、最適なタイミングで均一的な質の効果的なコミュニケーションが可能になることは、マーケティングオートメーション導入の大きなメリットです。
同時に自動化によって手作業が減れば、マーケターは商品開発や戦略立案などの重要度の高い業務に集中できるようになります。
3-2. 高度な顧客管理が可能になる
2つめのメリットは「高度な顧客管理が可能になる」ことです。
マーケティングオートメーションでは、行動データによって顧客の状況をリアルタイムに把握することが可能です。
▼ 行動データの例
- 特定のWebページを閲覧する
- メールを開封する
- 特定の商品を購入する
年齢・性別・地域などの属性データと違い、行動データは顧客の気分によって刻一刻と変わります。
一人ひとりの顧客の行動データを紐付けて顧客管理することで、「現在の顧客の状況」に最適化したコミュニケーションが可能です。
例えば、昨日ダイエットの広告をクリックした顧客には、今日のメルマガの出だしは、
「食欲が増す季節となりました。うっかり増えてしまった体重を急いで落としたいときには……」
といった文面が効果的かもしれません。
あるいは、Q&Aページの検索途中で離脱した顧客には、
「何かご不明な点はございませんか。疑問・質問があれば、何でもお知らせください」
とフォローすることが可能です。
このように高度な顧客管理により、一人ひとりの顧客の状況にあわせて最適なアプローチを実現できます。
3-3. 社内に散らばるデータを横断分析できる
3つめのメリットは「社内に散らばるデータを横断分析できる」ことです。
例えばメール配信システム、広告レポート、CRMデータ……といった具合に社内に個別に存在していて、活用し切れていないデータはないでしょうか。
多くの企業では、業務の担当者単位・プロジェクト単位でデータが保管されており、多種多様なデータが社内にありながらも連携したデータ分析はできていません。
マーケティングオートメーションと連携させれば、横断的な分析が可能です。
社内に眠る貴重なデータを、マーケティングオートメーションによって有効活用できるのです。
なお、マーケティングオートメーションのメリットについて詳しくは以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。
- マーケティングオートメーション メリット
4.マーケティングオートメーション導入のデメリット(弱い分野)
次にマーケティングオートメーション導入のデメリットを見ていきましょう。
- シナリオ化がしにくい分野では活用しにくい
- マーケティング初心者は勉強しないと使いこなせない
4-1. シナリオ化がしにくい分野では活用しにくい
1つめのデメリットは「シナリオ化がしにくい分野では活用しにくい」ことです。
マーケティングオートメーションの肝ともいえる機能が「シナリオ」です。
シナリオとは、“顧客にいつ・どんな内容でアプローチするか”という筋書きのことです。
マーケティングオートメーションでは、顧客へのコミュニケーションシナリオをあらかじめ設計しておき、そのシナリオに沿って、コミュニケーションを自動的に実行します。
シナリオの有効活用が期待できるビジネスほど、マーケティングオートメーション導入の有用性は高くなりますが、逆にコミュニケーションをシナリオ化しにくい分野では活用しにくいというデメリットを抱えていることを知っておきましょう。
オーダーメードに近いサービスを提供するA社の事例
例えば、マーケティングオートメーションを導入したものの早期に撤退を決断したA社では、各クライアントごとにオーダーメードに近いサービスを提供し、個別のコミュニケーションによって関係性を築いていました。
マーケティングオートメーションを導入したものの、コミュニケーションのシナリオ設計がうまくいかず、結局のところマーケティングオートメーションのサービスを解約しました。
よく「マーケティングオートメーションは、コミュニケーションをパーソナライズ化できる」という表現が使われますが、それは全顧客に対して一律で同じコミュニケーションを行っているケースを前提とした場合です。
A社のように、元々のコミュニケーションがパーソナライズ化されているケースでは、マーケティングオートメーションを使わない方がパーソナライズできることもあります。
マーケティングオートメーションを導入する前には、自社のビジネスモデルにうまくはまるか、事前によく検討する必要があります。
そのためには、マーケティングオートメーションで具体的に何ができるのか、機能を詳しく把握しておくことが役立つでしょう。以下の記事もあわせてご覧ください。
- マーケティングオートメーション 機能
4-2. マーケティング初心者は勉強しないと使いこなせない
2つめのデメリットは「マーケティング初心者は勉強しないと使いこなせない」ことです。
ビジネスツールのなかには、
「知識がない初心者でも、専門家のような作業を簡単にできるようにする」
という類のツールも存在します。
例えば、決められた数字を入力していくだけで経理処理ができる会計ソフトなどは、知識がなくても難しい処理ができるようになるツールといえるでしょう。
しかし、“マーケティングオートメーション”は、マーケティング初心者がマーケティングの知識なしに優れたマーケティングを実行できるようになるツールではないことを認識しておく必要があります。
ここをはき違えてしまい、マーケティングオートメーションに間違った期待をする人が多いためです。
マーケティングオートメーションは、担当者が設定したマーケティング施策の実行を自動化するツールであって、自動的に優れたマーケティングを考えて実行してくれるツールではないのです。
マーケティングがわかる人が社内にいないB社の事例
マーケティング担当者が辞めてしまった後、後任者の採用が難航し、「マーケティングがわかる人が社内にいない」状況に陥ったB社では、人員補強ではなくシステム的に解決しようと考えました。
そこでマーケティングオートメーションを導入したのですが、誰も使い方がわからず、成果を出せないまま放置となってしまいました。
結局、後任のマーケティング担当者を採用し、その担当者によって導入したマーケティングオートメーションが活用されるようになりました。
マーケティングオートメーションを使いこなすためには、そもそものマーケティングのスキルが必要になります。
マーケティング初心者がマーケティングオートメーションを使いこなすためには、マーケティングの勉強が必要です。
5. マーケティングオートメーションを導入すべき企業とは
ここまでの内容を踏まえると、マーケティングオートメーションを導入すべき企業が見えてきます。
5-1. すぐにでも導入すべき企業
まずマーケティングオートメーションを導入すべき企業は以下のとおりです。
- 現在手作業で実行しているマーケティング業務の効率化を図りたい
- 運用中のマーケティング戦略を横展開して拡大したい
- マーケターが立てた戦略・戦術をタスクレベルで実行する人員が不足している
- 社内に散らばっている各データを連係させてマーケティング施策に活用したい
- 現在、一律で行っているコミュニケーションを顧客ごとの状況に合わせたコミュニケーションに変えたい
これらの、どれかひとつでも当てはまっている企業は、今すぐにでもマーケティングオートメーションの導入を決定して良いといえます。
マーケティングオートメーションの強みとニーズが合っており、有用性を実感しやすいためです。
5-2. 慎重に検討すべき企業
次にマーケティングオートメーションの導入を慎重に検討すべき企業として、以下が挙げられます。
- 社内にマーケティングスキルの高い人がいない
- コミュニケーションをシナリオ化するイメージがつかない
まず、社内にマーケティングスキルの高い人がいない状況でマーケティングオートメーションを導入したい場合には、社内でマーケティング人材を育成するか、マーケティング支援会社のサポートを得ることを検討してください。
例えば、
「最初はシナリオ設計をマーケティング支援会社に委託し、設計してもらったシナリオでマーケティングオートメーションを運用しながら、社内にマーケティング人材を育成する」
といったやり方なら、マーケティングオートメーション導入に失敗しにくくなります。
次に、コミュニケーションをシナリオ化するイメージがつかない企業の場合、次の2パターンが考えられます。
- シナリオ化に適したビジネスモデルだが、シナリオの作り方がわからない
- そもそもシナリオ化に不向きなビジネスモデル
シナリオについて以下の記事で詳しく解説していますので目を通していただき、自社が上記どちらのパターンか、見極めてみましょう。
シナリオ化に不向きなビジネスモデルの場合は、シナリオ以外に活用したい機能がマーケティングオートメーションにあれば導入推進、なければ導入見送りがおすすめです。
マーケティングオートメーションの機能については以下の記事でまとめています。
- マーケティングオートメーション 機能
6. マーケティングオートメーションを導入する流れ
「マーケティングオートメーションを導入したい」と考えている方へ、導入の流れを簡単にご紹介します。
- ステップ1:ツールの選定
- ステップ2:導入体制の検討
- ステップ3:システム構築・実装
6-1. ステップ1:ツールの選定
1つめのステップは「ツールの選定」です。
マーケティングオートメーションのツールにはさまざまな種類がありますので、自社に合うツールを見極める必要があります。
「2. マーケティングオートメーション導入の判断材料として押さえるべき5項目」で整理した以下の項目に対して適切なツールを選定しましょう。
- 目的
- 目指す成果
- かけられるコスト
- 導入期限
- 人的リソース
具体的に見るべきポイントは、5つあります。
見るべきポイント(1)BtoB向け/BtoC向け
まずビジネスモデルが「BtoB」か「BtoC」かによって、適しているツールが異なります。
BtoB用、BtoC用でツールを分けているベンダーもあるので、ベンダーに確認するようにしてください。
一般的にBtoB用ツールでは、見込顧客のナーチャリングに強みを持つツールが多く、BtoCツールでは多数の顧客とのリアルタイムでのコミュニケーションに強みを持つツールが多いといえます。
▼ ツールの例
BtoB向け | マルケト「Marketo」 セールスフォース・ドットコム「Pardot」 |
BtoC向け | チーターデジタル「Cheetah Digital Customer Engagement Suite」 セールスフォース・ドットコム「SalesforceMarketing Cloud」 データX「b→dash」 |
※BtoC向けのマーケティングオートメーションについては以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
見るべきポイント(2)機能
マーケティングオートメーションの導入で目指す成果に対して、必要十分な機能を兼ね備えたツールであるか、確認しましょう。
機能の把握が不鮮明なままに「なんとかなるだろう」と導入してしまうと、機能不足で他のツールに乗り換えを余儀なくされる、機能を使いこなせずにコストが無駄になるといった問題が発生します。
必要な機能を見極めるためには、ある程度、マーケティングオートメーションの機能を理解していることが前提となります。以下の記事で、マーケティングオートメーションの機能を把握しておきましょう。
- マーケティングオートメーション 機能
見るべきポイント(3)費用
費用は機能、顧客数、配信数などによって上下しますが、費用体系はベンダーによって異なります。候補となっているツールをひとつずつ確認しましょう。
なお、社内システムやデータ連携が発生する場合には、社内のシステム担当者・システム会社とも連絡を取り、必要なカスタマイズとその費用も同時進行で見積もりを取ります。
見るべきポイント(4)導入実績
導入実績が極端に少ないツールは避けた方が賢明です。
バグの対処やアップデートによる機能のブラッシュアップがまだなされていないため、品質が安定しないリスクがあります。
国内だけでなく海外も含めて導入実績が多数あるツールは、ベンダーが成功事例を数多く抱えているため最先端のナレッジが共有されやすいメリットがあります。
見るべきポイント(5)サポート体制
トラブルやエラーが起きたときのサポート体制は、あらかじめチェックしておきましょう。
自社が提供しているサービスや顧客によって、トラブル時の対応の緊急性は変わりますので、自社のレベルに合ったサポート体制が得られることが大切です。
▼ サポート体制でチェックすべきポイント
- 緊急のシステムトラブルや障害が発生したときに即時対応してもらえるか
- 問い合わせに対する回答速度はどの程度か(具体的に何日以内か)
- 無償で受けられるサポートの範囲は十分か
- どのような方法でのサポートが受けられるか(メール、電話、来訪など)
6-2. ステップ2:導入体制の整理・検討
2つめのステップは「導入体制の検討」です。
導入するツールが決まったら、具体的に誰が何をするのか、どの会社が関わるのか、導入体制を整理して検討しましょう。
▼ 導入体制
社外 | ツールベンダー マーケティング支援会社(マーケティング支援を依頼する場合) システム会社(社内システムと連携する場合) |
社内 | マーケティング部門 システム部門 |
導入するツールの内容によっては、複数の企業・複数の部門が関わる大きなプロジェクトとなりますので、最適な布陣を最初に整理しておくことが大切です。
6-3. ステップ3:システム構築・実装
3つめのステップは「システム構築・実装」です。
実際にシステム構築・実装に入っていきます。工程は各企業で導入するマーケティングオートメーションの内容によって異なりますが、標準的には以下のとおりです。
▼ システム構築・実装の流れ
プロジェクト企画 | 導入目的の整理 全体計画の策定 |
要件定義 | システム要件の整理 施策スコープ策定 |
システム設計 | システム間のデータ連携設計 配信処理 データ処理 |
実装 | 環境構築 データ連携 コンテンツ設定 |
テスト | テスト運用 テスト結果確認 |
これらのプロセスを経て、およそ3ヶ月〜6ヶ月程度で導入完了となります。
7. マーケティングオートメーション導入を成功させるポイント
最後に、マーケティングオートメーション導入を成功させるポイントをお伝えしましょう。
- マーケティング以外の専門知識はなくても運用できるようにする
- システムの一元管理を前提として設計する
- 運用のリソースをあらかじめ確保する
7-1. マーケティング以外の専門知識はなくても運用できるようにする
1つめのポイントは「マーケティング以外の専門知識はなくても運用できるようにする」ことです。
マーケティングオートメーションのツールや運用の方法によっては、SQL(データベースの言語)やシステム特有の言語が必要になり、シナリオ変更などの作業に時間がかかることがあります。
失敗例 |
システムの専門知識が必要なため運用が属人的になっている 運用にシステム特有の言語が必要なためシナリオ変更に時間がかかる |
マーケティングオートメーションを導入するうえでは、
「マーケターが、マーケティングの知識さえあれば運用できる状態」
を作ることが成功のコツです。
そうしないと、結局のところマーケティングオートメーションの運用作業に時間を取られ、 マーケティング戦略立案などの重要業務に割ける時間が減ってしまうからです。
加えて、市場変化へのスピーディな対応も難しくなります。
7-2. システムの一元管理を前提として設計する
2つめのポイントは「システムの一元管理を前提として設計する」ことです。
マーケティングオートメーションによって業務効率化および効果的なデータ連携を実現するためには、導入するマーケティングオートメーションにできる限りすべてを集約する前提で設計することが大切です。
失敗例 |
メール配信とマーケティングオートメーションのシステムが別々になっているため2重コストがかかっている |
既存のシステムやツールに、プラスオンでマーケティングオートメーションを追加しても、手間とコストが上乗せされるだけになります。
導入を検討しはじめた初期の段階から「一元管理」を目指して、ツールベンダーやシステム会社と手段を相談しましょう。
7-3. 運用のリソースをあらかじめ確保する
3つめのポイントは「実装と運用のリソースをあらかじめ確保する」ことです。
ここまでにも述べたとおり、マーケティングオートメーションはマーケターが設定したタスクを自動で実行するツールであり、マーケティングの頭脳を代替するものではありません。
マーケティングオートメーションに設定するシナリオを改善したり、メール文やコンテンツを制作したりするリソースは、あらかじめ確保する必要があります。
失敗例 |
シナリオを改善するリソースがなく同じシナリオのまま運用している メール文やコンテンツを制作するリソースが不足している |
社内でリソースを確保するのが難しければ、マーケティング支援会社に依頼することも検討しましょう。
例えばチーターデジタルでは、マーケティングオートメーションの活用をサポートするサービスをご提供しています。
詳しくは以下のリンクからご確認ください。
『マーケティングオートメーション フル活用パッケージ』詳しくはこちら
8. まとめ
マーケティングオートメーションの導入を検討する際には、最初に以下の5項目を整理してから検討を始めましょう。
- 目的
- 目指す成果
- かけられるコスト
- 導入期限
- 人的リソース
マーケティングオートメーション導入のメリットは以下のとおりです。
- 自動化によって効果的なコミュニケーションを実現できる
- 高度な顧客管理が可能になる
- 社内に散らばるデータを横断分析できる
マーケティングオートメーション導入のデメリットは以下のとおりです。
- シナリオ化がしにくい分野では活用しにくい
- マーケティング初心者は勉強しないと使いこなせない
マーケティングオートメーションを導入する流れを3ステップでご紹介しました。
- ステップ1:ツールの選定
- ステップ2:導入体制の整理・検討
- ステップ3:システム構築・実装
マーケティングオートメーション導入を成功させるポイントはこちらです。
- マーケティング以外の専門知識はなくても運用できるようにする
- システムの一元管理を前提として設計する
- 運用のリソースをあらかじめ確保する
自社に合うマーケティングオートメーションを導入し、マーケティングの効率化と質の向上を実現しましょう。