このブログはAscendant Loyalty Marketingとのブログシリーズの2回目の記事です。1回目のブログでは、潜在顧客を可視化する顧客エンゲージメントデータの活用方法を解説しました。
今回は、顧客ロイヤルティに焦点をあて、ロイヤルティを高めるためのソフトベネフィットとパーソナライゼーションについてご紹介します。
ブランド認知と体験が顧客ロイヤルティ作りだす
まずは顧客ロイヤルティの定義からご説明します。英語の「Loyalty(ロイヤルティ)」とは、直訳すると”忠誠心” を指し、特定の物事に対する人間の “忠実で正直な心” を意味します。
ではこれをもう少し、マーケティング文脈で考えてみましょう。Ascendant Loyalty Marketingの共同創業者のJay Weinbergは顧客ロイヤルティを、”特定のブランドを好んで選び続けるお客様の意思” と定義しています。
ロイヤルティの向上とは、単に顧客の購買意欲を高めるということではありません。そしてそれは、顧客の深いブランド認知と優れた体験とが混ざりあったエコシステムにより生み出されるもので、ブランドに対しての 「信頼」「特別」「期待」といった感情を作り出します。
新規顧客獲得に比重をおいていたブランド企業でも、今ではマーケティング戦略の一つに「顧客ロイヤルティ向上」を組み込んでいます。なぜなら新規顧客獲得に比べ、既存顧客の維持や関係構築にかかるコストは10分の1で済むからです。
新規顧客の獲得が重要であることに変わりはありませんが、顧客との間にロイヤルな関係を多く生むことができれば、ブランド企業はLTV(顧客生涯価値)を高めることができ、結果として獲得コストを下げるというプレッシャーからも解放されます。
ソフトベネフィットとパーソナライゼーション
多くの場合ロイヤルティ マーケティング施策といえば、購買金額や頻度に応じたクーポンやポイントの付与でした。売上を構築するにはこうした取り組みも有効ですが、顧客の「信頼感」「特別感」「期待感」を作り出すためには、ハードベネフィット(金銭価値)だけでなくソフトベネフィット(体験価値)の提供も必要です。
顧客ロイヤルティを向上させるために、もう一つ重要なのが、パーソナライゼーションです。アメリカで急成長しているブランド企業の多くは、顧客データの収集や分析に多くの投資をし、顧客ごとにパーソナライズをしたメッセージやコンテンツ、オファーを提供することで、成果を上げています。
また最近のForbesの調査では、アメリカの約70%の経営者が、顧客ロイヤルティ、顧客リテンション、シェアオブウォレットなど、継続的な顧客との関係から得られる成果において、パーソナライゼーションが重要な役割を果たしている、と答えています。さらにそれらの経営者に、自社で最もパーソナライズしているプログラムや施策を尋ねたところ、約13%がロイヤルティ プログラムと回答しており、パーソナライゼーションとロイヤルティ プログラムの有効性が強調された結果となりました。
COSTCOのソフトベネフィット提供事例
会員制ショッピングセンターのCOSTCO WHOLESALEでは、週末に様々な商品の無料サンプルを提供し、会員の買い物への興味を惹きつけています。試供品を提供するのは単に新商品のプロモーションのためではありません。新商品を誰よりも早く口にしてもらうという特別な顧客体験を提供することで、コストコでのショッピングをより魅力的なものにしています。
Image Source: https://www.gettyimages.co.jp/
まさにこれこそがソフトベネフィット(体験価値)の提供であり、無料サンプルを体験したコストコ会員は他の来店客と比べ、より多くの商品を購入します。
Starbucksのパーソナライゼーション事例
Starbucksは、顧客との取引情報、商品情報、ロイヤルティ ステータス情報、店舗情報などを利用して、2,000万人のStars(リワード プログラム)会員に対してパーソナライズされたブランド体験を提供しています。
Image Source: https://starbucks-stars.com/en-us/
例えば、誕生日には無料アイテムがプレゼントされたり、ユニークなコンテスト「Starbucks for Life」への参加ができるなど、プログラム会員は無料コーヒーの獲得だけではなく、パーソナライズされた体験をモバイル アプリで受け取ることができます。スターバックスによると、2019年下半期の売上増加の約1/3にリワード プログラムが貢献しており、その額は数億ドルにも上るものでした。(参照:RestaurantBusinessOnline.com)
独自のブランド体験が顧客ロイヤルティを高める
2社の事例からも分かる通り、顧客ロイヤルティを高めるためには、ブランド独自の体験を提供することでが重要です。そして、その価値を高めるためには、適切なソフトベネフィットとパーソナライゼーションが必要です。それらを組み込んだロイヤルティ プログラムを開発することで、ブランドに対する顧客の「信頼」「特別」「期待」といった感情を作ることができるのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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ブログシリーズ:
– その1: 潜在顧客を可視化する顧客エンゲージメント データの活用
– その2: 顧客ロイヤルティを向上させるソフトベネフィットとパーソナライゼーション (↑本記事)
– その3: LTV(顧客生涯価値)の計測方法と向上方法
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