LTVを最大化する方法を調べている方へ結論からお伝えすると、顧客ロイヤルティの向上への取り組みが最善策です。
なぜなら、LTVを構成する変数の客単価・購入頻度・継続購入期間は、3つとも顧客ロイヤルティと密接な関係があり、顧客ロイヤルティを高めればおのずとLTVが最大化されるからです。
そこで本記事では、「LTVの最大化」を顧客ロイヤルティの視点から見ていくことにしましょう。
この記事でわかること
● LTV最大化に直結する3つの変数がわかる
● 顧客ロイヤルティを高める重要な戦略を解説
● 注意点や活用したいツールまで網羅
「LTVの最大化について知りたい」
「LTVを向上させたい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、LTVと顧客ロイヤルティの関係性を理解したうえで、効果的な戦略を選択できるようになります。
現在LTVが伸び悩んでいる企業でも向上に転じさせ、LTV最大化を実現する一歩となるはずです。
ではさっそく解説を始めましょう。
1. LTV最大化に直結する3つの変数とは
LTV(顧客生涯価値)を最大化するうえでは、LTVを因数分解した構成要素である“3つの変数”について、まず知っておく必要があります。
▼ 3つの変数
- 客単価
- 購入頻度
- 継続購入期間
この3つすべてが最大化したポイントが、LTVが最大化するポイントとなります。
それぞれ見てみましょう。
1-1. 客単価
1つめの変数は「客単価」です。
客単価とは、顧客1人あたりが、1回の購入・飲食などで支払った平均金額のことです。
▼ 客単価の計算式
- 客単価(円)=売上高(円) ÷ 客数(人)
例えば、コーヒーショップで、《ドリップコーヒー300円・レモンパイ500円》を購入した場合、客単価は【800円】となります。
1-2. 購入頻度
2つめの変数は「購入頻度」です。
購入頻度とは、一定期間内に顧客が商品・サービスを購入する頻度のことです。
どの期間で区切って測定するかは企業によって異なりますが、例えば「1カ月に●回」「1年に●回」といった尺度で測ります。
例えば、
購入頻度は、商品・サービスの種類によって大きく異なります。
“コンビニ”のように毎日のように購買されるケースもあれば、“ベッド”のように何十年に1回の購入頻度となるケースもあります。
1-3. 継続購入期間
3つめの変数は「継続購入期間」です。
継続購入期間とは、初めて商品・サービスを購入してからリピート購入し続けている期間のことです。
例えば、コーヒーショップに2018年1月〜2020年12月まで通っていた顧客の場合、継続購入期間は【24カ月】となります。
サブスクリプションモデルであれば、申込みから解約までの継続期間となります。
1-4. LTVの計算例
さて、ここで実際にLTVを計算してみましょう。
▼ 例題DATA
- 客単価:5,000円
- 1年間の購入頻度:6回
- 継続購入期間:3年
LTV:5,000円 × 6回 × 3年=90,000円
LTVを最大化するためには、客単価・購入頻度・継続購入期間を、それぞれ高める必要があります。
※補足:より正確にLTVを計測するためには、荒利益や割引率なども加味すると良いでしょう。詳しくは以下の記事をご覧ください。
2. 3つの変数と連動する要素は「顧客ロイヤルティ」
では、具体的にどのようにして客単価・購入頻度・継続購入期間を高めるべきでしょうか。
実は、これら3つの変数を一気に高められる連動要素があります。それが「顧客ロイヤルティ」です。
顧客ロイヤルティ(忠誠心、愛着や信頼)が、どのように3つの変数と関係しているのか、解説しましょう。
2-1. 「客単価」と顧客ロイヤルティの関係
まず、「客単価」と顧客ロイヤルティの関係を見るうえで重要なポイントは2つです。
1つめは、顧客ロイヤルティが高くなるほど、購入点数が増えるという事実です。
例えば、アパレルブランドで考えてみましょう。ロイヤルティの高い顧客は、全身を同じブランドでコーディネートしたくなりますから、購入点数が増え、客単価がアップするのです。
2つめは、顧客ロイヤルティが高くブランドに価値を感じている顧客ほど、同じものでも高い金額を支払うという特性です。
“製品(プロダクト)そのもの”が持つ機能だけでなく、付加価値がついて、高額でも購入しやすくなります。
2-2. 「購入頻度」と顧客ロイヤルティの関係
次に、「購入頻度」と顧客ロイヤルティの関係で押さえておくべきポイントは2つです。
1つめは、ロイヤルティの高い顧客ほど、ブランドに対する愛着の感情が強く、接触回数が増えるということです。
あなた自身も、気に入って頻繁に通っている飲食店や、週に何度も購入しているECサイトがあるかもしれません。
2つめは、顧客ロイヤルティが高くなると消費速度が早まることです。これは、食品・洗剤・化粧品などに顕著に見られる特性で、購入したあと素早く消費するため、購入サイクルが早くなります。
2-3. 「継続購入期間」と顧客ロイヤルティの関係
最後に、「継続購入期間」と顧客ロイヤルティの関係を見ていきましょう。
顧客ロイヤルティとは直訳すれば「顧客の忠誠心」となりますが、何に対する忠誠なのかといえば、
「他の商品に乗り換えることなく、ゆるぎなく一途に、ずっとこの商品を購入し続ける」
ことへの忠誠、と表現できます。
そう感じるほどの強い愛着や特別な信頼の感情を、顧客ロイヤルティと呼びます。
よって、顧客ロイヤルティが高まれば高まるほど、離脱率・解約率は下がり、継続購入期間が高まり続けて行くのです。
3. 顧客ロイヤルティの最大化こそLTV最大化の最善策
「LTVを最大化するためには、何をすべきか?」
といえば、答えは簡単です。
顧客ロイヤルティを最大化すれば良いのです。
顧客ロイヤルティの最大化こそ、LTV最大化の最善策です。
客単価・購入頻度・継続購入期間をそれぞれ高める細かな施策は存在するものの、3つの変数を一挙に高めるほどのインパクトを持つ施策は、顧客ロイヤルティの最大化以外にありません。
実際に、多くの企業はLTVの最大化を目的としてロイヤルティ マーケティングに取り組んでいます。
4. 顧客ロイヤルティを高めてLTVを最大化する5つの戦略
顧客ロイヤルティを高めるためには、何をすれば良いのでしょうか。ここでは、LTVに直結する重要な5つの戦略をご紹介しましょう。
- ブランド価値を伝えるメッセージ発信
- 商品・サービスの顧客満足度の向上
- 感動体験の提供
- ブランドと顧客の感情的な結びつきの創出
- 一人ひとりの顧客へのパーソナライズ化
4-1. ブランド価値を伝えるメッセージ発信
1つめの戦略は「ブランド価値を伝えるメッセージ発信」です。
顧客ロイヤルティを醸成する第一歩として、顧客にポジティブな気持ちを抱いてもらう必要があります。
しかし、「何者かわからない相手」には、何の感情も湧かないものです。
顧客がブランドに魅力を感じ、心惹かれるには、必ずそのきっかけとなる理由があります。
ブランド価値を伝える活動とは、顧客がブランドを好きになる理由を創ることです。
なお、そもそも“ブランド価値が明確になっていない”というフェーズにある場合には、ブランド価値を明確にするところからスタートしましょう。
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4-2. 商品・サービスの顧客満足度の向上
2つめの戦略は「商品・サービスの顧客満足度の向上」です。
顧客ロイヤルティの向上施策というと、顧客満足度よりもカスタマーエクスペリエンス(CX)が強調されますが、しかし顧客満足度を軽視して良いわけではありません。
むしろ、顧客満足度は顧客ロイヤルティを高めるうえで最低限必要な前提条件ともいえます。
商品・サービスが、顧客のニーズを十分に満たし、高い顧客満足度をキープしていて初めて、スタート地点に立てるのです。
いま一度、基本に立ち返り、顧客満足度の向上に努めてください。
「自社の顧客満足度を把握できていない」という場合には、以下の記事を参考に顧客満足度調査を行いましょう。
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4-3. 感動体験の提供
3つめの戦略は「感動体験の提供」です。
“顧客満足度は最低限必要な前提条件”とお伝えしましたが、満足のその先に行くためには、感動するほどの顧客体験を提供しなければなりません。
ただ商品・サービスを利用して満足するだけでは、顧客ロイヤルティを醸成するには弱いからです。
例えば、
「こんなに良い対応をしてもらえるなんて!」
「私のことをビックリするほどよくわかってくれる」
など、顧客が驚く体験を提供してください。
感動に心動いた瞬間、そこに“顧客ロイヤルティの素”が生まれるのです。
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※補足:「感動体験」を定量的にとらえたい場合には、顧客へのアンケートを実施し「感動指標」を調査すると良いでしょう。
▼ 感度指標を調査するアンケートの設問例
4-4. ブランドと顧客の感情的な結びつきの創出
4つめの戦略は「ブランドと顧客の感情的な結びつきの創出」です。
顧客ロイヤルティの醸成には、感情レベルでのつながりが重要な意味を持ちます。
▼ ブランドと顧客をつなぐ感情の例
- ブランドを通じてなりたい自分になれる、自信を持てる
- ブランドの愛用者としてグループメンバーの一員のように感じる
- ブランドの利用が環境を守る行動につながる
- ブランドを所有することで優越感やステータスを感じる
あなたのブランドは、顧客にどんな感情で結び付いているでしょうか。
顧客とつながる感情を明確に洗い出したうえで、意図的な創出をスタートしましょう。
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4-5. 一人ひとりの顧客へのパーソナライズ化
5つめの戦略は「一人ひとりの顧客へのパーソナライズ化」です。
顧客は、集団として扱われるのではなく、一人の個人として自分専用の対応を求めています。
顧客の趣味嗜好やライフスタイルを把握し、その顧客がうれしいと感じる情報や役立つ情報を提供してください。
パーソナライズを効率的に行ううえでは、MAツール(マーケティングオートメーションツール)が有益ですから、導入を検討すると良いでしょう。
パーソナライズについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
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5. LTVの最大化に取り組む際の注意点
LTVの最大化に取り組む際に注意したいポイントを2つ、ご紹介します。
5-1. 取り組みの初期には一時的に売上が下がることがある
1つめの注意点は「取り組みの初期には一時的に売上が下がることがある」ことです。
特に注意したいのは、これまで頻繁な割引セールやまとめ買いを促進するキャンペーンなど、売り込み要素が強い販促手法で売上を作っていた企業です。
LTVの最大化への取り組みは、施策の方向性が大きく変わることになり、短期的には売上が下がることがあります。
そこで我慢できず、従来の販促手法に戻ってしまうケースが散見されますが、大変もったいないことです。
LTV最大化の取り組みは、正しく継続すれば必ず企業の利益となります。
一時的に売上が下がったとしても、徐々に顧客ロイヤルティが向上してくると、割引セールやキャンペーンなしでも安定的な収益が上がるようになります。取り組みを継続することが大切です。
5-2. 勘や経験に頼らずデータやMAツールを活用する
2つめの注意点は「勘や経験に頼らずデータやMAツールを活用する」ことです。
LTVを最大化につながる顧客ロイヤルティは、目に見えない顧客の心理に存在するものだからこそ、マーケティング担当者の勘や経験に頼れば失敗しやすくなります。
心理を扱うからこそ、データやマーケティング オートメーション ツール(MAツール)を活用し、根拠を持った意思決定やルールを設計した運用を心掛けてください。
6. LTVの最大化を成功させるために活用したいツール
LTV最大化を成功させるために活用したいツールとして、『Cheetah Digital by Marigold 』をご紹介します。
エンゲージメント・データ・プラットフォーム、エクスペリエンス、メッセージング、ロイヤルティの4つの機能を持ち、パーソナライズされた顧客体験・クロスチャネルメッセージング・ロイヤルティ戦略をオールインワンで実現できるツールです。
LTV最大化のために実践すべき施策がスムーズに行えるため、LTV向上施策としての導入が多いツールです。
詳しくは以下のリンクからご確認ください。
7. まとめ
LTV最大化に直結する3つの変数は以下のとおりです。
- 客単価
- 購入頻度
- 継続購入期間
それぞれ、「顧客ロイヤルティ」と深い結びつきがあり、顧客ロイヤルティの最大化こそLTV最大化の最善策といえます。
顧客ロイヤルティを高めてLTVを最大化する5つの戦略として以下をご紹介しました。
- ブランド価値を伝えるメッセージ発信
- 商品・サービスの顧客満足度の向上
- 感動体験の提供
- ブランドと顧客の感情的な結びつきの創出
- 一人ひとりの顧客へのパーソナライズ化
LTVの最大化に取り組む際の注意として2つのポイントがあります。
- 取り組みの初期には一時的に売上が下がることがある
- 勘や経験に頼らずデータやMAツールを活用する
なお、より具体的な実践ステップを知りたい方は、続けて以下の記事をご覧ください。