ワニのトレードマークとともに世界中の人々に愛される、フランス生まれのプレミアム ファッションスポーツブランド「ラコステ」。
ラコステ ジャパンでは、数年前よりチーターデジタルが提供するデジタルキャンペーン管理ツール「Marigold Grow」を導入し、さまざまなキャンペーン施策を展開してきました。小売企業の多くが、セールなど売上に直接つながるマーケティング施策に注力する中、ラコステでは顧客エンゲージメントを高めるマーケティング施策にも注力しています。
なぜエンゲージメントに重きを置くのかを、最近のいくつかの施策事例とあわせて同社 マーケティングチーム マネージャー・⻘野功治さんに聞きました。
ラコステについて
フランスの伝説的テニスプレイヤー、ルネ・ラコステが、1933年に開発したポロシャツを起源に持つブランド。ロゴマークのワニは、ラコステのニックネームに由来。世界中の人々に愛されるフレンチ・シックなアイテムで、プレミアムな日常を演出する。
Index
- 「お客さまに楽しんでいただきたい」が最終的には成果に
- 簡易版のホームページを作る感覚で実装できる
- 店舗で育まれるブランドへの愛着をデジタルで再現
「お客さまに楽しんでいただきたい」が最終的には成果に
これまでラコステ ジャパンでは、Marigold Growを通じてさまざまなデジタルキャンペーンを展開してきました。以下、既存会員向けに実施した最近のキャンペーンを紹介します。
*TIMELINE CROC MATCHING GAME (神経衰弱)
カードをタップしてめくると、ラコステの歴代ワニのいずれかが登場。神経衰弱スタイルで全5ペアが揃うまでのタイムを計測するミニゲーム。プレイした人の中から抽選で5名に、店頭で展開中の“Timeline Croc”シリーズより、好きな色のアイテムをプレゼント。
ーー果たして同施策は、どのような意図で設計されたのでしょう?
「こちらは、歴代のワニロゴをモチーフとした新商品に連動したキャンペーンです。神経衰弱をプレイした後、新商品のプレゼント抽選に応募していただくにあたって、どのロゴにするか選んでいただく形になります。それを通して、ロゴやブランドのヒストリーを自然に学びながらブランドエンゲージメントを高めていただくことが、目的にありました。
それと、ゲーム中にタイムを設けることで、『あのゲーム、●秒でクリアできましたよ』といった話題がお店のスタッフとの間で生まれることも期待しました」
結果的に同施策は、想定以上の反響を得ることになります。
「キャンペーン期間の1週間で、これまでにないエントリー数を記録。ミニゲームのポテンシャルの高さを、まざまざと感じました」
*オリジナルウォールペーパー (ロゴ壁紙)
ラコステのポロシャツに使われる鹿の子生地の色と、ワニロゴの仕様を選ぶことで、オリジナルの“ポロシャツ壁紙”を作れるキャンペーン。生成した壁紙は、各ユーザーがダウンロードして実際に使用できる。
「こちらは、自分好みにカスタマイズしたポロシャツを作れる『MY LACOSTE』の日本上陸にあわせたキャンペーンです。神経衰弱をさらに上回る数字を記録し、かなり楽しんでいただけた施策になったと感じています」
くわえて、“想定外”の効果もありました。それは、SNS投稿です。
「お客さまがそれぞれお好みの壁紙を作り、それをTwitter(現・X)などのSNSに投稿されるケースが、結構多かったんです。ロゴを並べて文字を作ったり、文字のロゴを並べてワニを作ったりと、斬新なデザインも多く、我々も楽しませていただきました。
そうした後押しもあり、期間中はラコステアプリのダウンロード数も増加し、よりパワフルなキャンペーンになったと感じています」
*新作スニーカー先行販売キャンペーン (クイズ)
新発売のスニーカーに関連したクイズに答えると、抽選で当該商品が当たるキャンペーン施策。
「こちらは発売日の約1ヵ月前に、会員さま限定キャンペーンにて新商品のご案内をクイズとともに紹介し、さらにキャンペーン終了の翌日から会員限定先行販売を開始。そして限定販売終了後、一斉販売を開始するという3段階の施策を設計しました。
新発売の商品といっても、よほどの限定品などでない限り、その日に完売するようなことはほとんどありません。こうしたキャンペーンを打つことで、お客さまに商品のことを事前に知っていただき、先行で買っていただける仕組みを設けました。
あわせて、お店のスタッフにもキャンペーンを通して事前に商品の内容をつかんでもらうことで、新商品に対して現場と本部が一体感をもって取り組める効果も見込みました。今後もこうした施策を活用していきたいと考えています」
簡易版のホームページを作る感覚で実装できる
ーーでは、このようなデジタルキャンペーン施策は、具体的にどのように具現化するのでしょうか。Marigold Growの使い勝手や、Marigold Growの提供元であるチーターデジタルの支援内容とあわせて聞きました。
「まずチーターデジタルから、グローバルの先行事例をいただき、それをヒントに当社の方でこんなことができないかとご相談します。その中から、実現可能で本当に良さそうなものをご相談しながらピックアップし、実装していく流れになります。
そこからの作り込みに関しては、チーターデジタルに任せる場合と当社で行う場合の両方がありますが、基本的には90ほどあるMarigold Growのテンプレートをベースに簡易版のホームページを作る感覚で進められるので、コーディングなどの専門的な技術は必要ありません。
また、チーターデジタルのご担当者のサポート力がすばらしく、非常に頼りにさせていただいています。どんな相談を持ちかけても無理とは言わず、まずは一度検討していただけ、実現に向けた技術力も高い。なので、何でもご相談させていただいています」
とはいえ、アパレルブランドをはじめとする小売ビジネスにおいては、セールなど売上に直結するマーケティング施策が重視されがちです。なぜラコステでは、そうした施策だけでなく、こういったお客さまを楽しませ、エンゲージメントを高める施策に注力するのでしょう?
店舗で育まれるブランドへの愛着をデジタルで再現
ーーエンゲージメント施策に注力する理由について、青野さんはこう話します。
「一番の目的は、ラコステのファンを増やすことにあります。お客さまの声を聞いていて感じるのは、いわゆるロイヤル顧客のほぼ全員が、特定の店舗スタッフとつながっていることです。基本的には、そのスタッフの案内や説明を通じて、商品購入だったりイベント参加だったりが起こります。あわせてそうしたお客さまは、本当にラコステのことを好きな方が多く、ブランドの現況やヒストリーも、非常に詳しかったりします。
だからこそ、もしオンラインの世界でもMarigold Growのようなツールを使ってお客さまに商品のことやブランド自体のことをさまざまな形で知っていただくことで、まさにそのような関係性を築けるのではないかと。これからは、お客さまに複数回お店に足を運んでいただいて、ショップスタッフがその度にいろいろな角度からご説明して積み上げていっていたことを、デジタルツールを通してやっていこうと」
いうなればそれは、キャンペーンを単発施策や短期的な販促施策としてとらえるのではなく、継続的な接点を通して“エデュケーション”を図っていく考え方だと言います。
「その点Marigold Growは、施策単位ではなく年間単位で利用料を支払うSaaS型なので、継続的に施策を打つのに適しています。とはいえ、ただお客さまに楽しんでもらうだけでなく、キャンペーンを通して商品の販売につなげる設計も採り入れるようにしています」
ーーでは目的を短期的な売上ではなく、そうしたロイヤル顧客の育成に置くとなると、どのようなKPIを設定することになるのでしょうか。
「Marigold Growを通した施策において、当社が最も重視するのが、参加率とLTVです。それを測るにあたっては、直後に反応があるものだけでなく、長期的な効果を見る必要があり、参加者が非参加者とどのくらい年間の購入金額や回数に差があるかなども見ます。
つまりは、施策から得られるさまざまなデータを分析して先々に活かすための投資であると同時に、今まで買ってくれたお客さまとの関係性の維持や、今後より買っていただける関係性を築くための“種まき”であるととらえているんです。
実際、Marigold Growを通したデジタルキャンペーン施策に参加していただいたお客さまはエンゲージメントが高まり、結果的に先々で商品を買ってくださってライフタイムバリュー(LTV)が高くなるという傾向が表れ始めています」
ーー最後に、Marigold Growを今後どのように有効活用したいかをうかがいました。
「直近では、チーターデジタルとの協業の形で、ネットプロモータースコア(NPS)をMarigold Growに組み込む準備をしています。NPSは他社ツールを使っても測れますが、Marigold Growで管理することで利用中のMarigold Engage+(チーターデジタルの提供するMAツール)とも連携できるので、よりスムーズな運用が見込めます」
※ 本事例は2024年3月時点の情報です