優良顧客分析とは、顧客データを分析することで顧客をグループ化し、「誰が優良顧客なのか」を把握するための分析です。
「優良顧客」とは「高頻度で高い購入額を、より最近買ってくれた」顧客のことを指します。優良顧客分析を行う事で得られる効果としては、主に以下の2つが挙げられます。
どのような状況においてもマーケティングにとって重要なことは、顧客の事を知る事です。顧客の情報を分析する事で優良顧客が割り出すことができれば、優良顧客を維持するために必要なアプローチが見えてきます。それだけでなく、分析を行うことで既存顧客や新規顧客を優良顧客へ育成することも可能となります。
逆に優良顧客分析を行わないと、せっかく獲得した優良顧客を手放してしまう結果にもなり兼ねません。それだけ、優良顧客分析はマーケティングにおいて重要な要素なのです。
この記事では、優良顧客分析について以下の事を詳しく解説しています。
この記事を読むと分かる事 |
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この記事をお読みいただくことで優良顧客分析について正しく理解できます。ぜひ最後までお読みいただき、導入を検討してみてください!
1.優良顧客分析とは優良顧客を割り出す手法のこと
優良顧客分析とはデータを分析する事で顧客をグループ化し、優良顧客を割り出す手法の事です。
では企業にとっての「優良顧客」とは、そもそもどんなものの事を言うのでしょうか?まずはこの点を解説していきます。
1-1.そもそも「優良顧客とは」
「優良顧客」の定義は分析方法により様々な定義ができますが、一般的には「高頻度で高い購入額を、より最近買ってくれた」顧客の事を指します。
購入金額がいくら多くても、最後の購入からかなり時間が経ってしまっていたり頻度が著しく低いなどの場合は優良顧客とは言えないのです。
業界によっても差がありますが、優良顧客は全体の顧客のおよそ上位2割と言われています(パレートの法則)。そして売上金額としてはこの層が売り上げのほとんどを占めています。
つまり、優良顧客を維持することは企業の売り上げにとっても非常に重要と言えるのです。
優良顧客とロイヤルカスタマーの違い |
「優良顧客」という言葉は「ロイヤルカスタマー」と混同される事が少なくありません。確かにロイヤルカスタマーは頻繁にたくさんの商品を購入してくれるため、優良顧客といえます。 しかし、優良顧客が全てロイヤルカスタマーかと言えば、そういうわけではありません。 ロイヤルカスタマーは優良顧客の中でも特に企業やブランドに愛着を持ち、商品をリピート購入してくれたり、他社に紹介してくれる可能性を秘めている顧客の事です。一方、優良顧客は企業やブランドに愛着を持っているとは限りません。「流行っているから」「他のサービスを調べるのが面倒だから」などの顧客も優良顧客に含まれる可能性があるのです。 一部の優良顧客は企業やブランドに愛着を持っていないため、商品に満足しなければ簡単に離脱してしまう可能性を秘めているのです。 |
1-2.優良顧客分析とは
優良顧客分析とは顧客データを分析することで顧客をグループ化し、「誰が優良顧客なのか」を把握するための分析です。
優良顧客を大切にするためには、まずは「誰が優良顧客なのか」を把握する必要があります。それが分からずにマーケティングを行うと適切なアプローチができず、せっかくの優良顧客を手放してしまう可能性があるのです。
そのために必要なのが、「誰が優良顧客なのか」を割り出すための優良顧客分析なのです。
2.優良顧客分析を実施するとできること
優良顧客分析を行うと、どのような事が可能となるのでしょうか。優良顧客分析の効果としては、以下の2つが挙げられます。
それぞれについて、詳しく解説していきます。
2-2.顧客の属性ごとに適切な販売プロモーションを行える
前の章でも解説したように、優良顧客は頻繁に高額を売り上げてくれる顧客の事。データ分析して優良顧客をグループ化する事でアプローチしやすくなるというメリットがあるのです。
当然の事ですが、顧客の中には優良顧客だけでなく、最近初めて商品やサービスを利用した新規顧客や以前は購入してくれていたが最近は購入のない休眠顧客など、様々な顧客がいます。
例えば、顧客に対するアプローチの内容としてメルマガ配信を考えていたとします。優良顧客と新規顧客に同じ内容のメルマガを配信したら、どうなるでしょうか。毎月頻繁に利用している優良顧客に対して、新規顧客向けの「リピート割り」などのメルマガを配信してしまったら、優良顧客は気分が良くないですよね。
プロモーションの内容にもよりますが、優良顧客と新規顧客で同じアプローチ方法で効果的に訴求することが難しいのは目に見えています。適切なプロモーションを行うためには、企業側が顧客の事を把握することは必要不可欠なのです。
また、優良顧客分析を行う事で売り上げを取れていない既存顧客についても深く理解できるのも魅力といえるでしょう。
例えば顧客データを分析する事で、売上促進の余地のある顧客の属性を知ることができます。その結果、それぞれのグループに適したアプローチが行えます。
売り上げ促進のためには、優良顧客分析を行う事が非常に効果的です。
2-3.効率化をはかれるためコスト削減も期待できる
優良顧客を行うと作業の無駄をなくすことができるため、コスト削減も可能となります。
ここまで解説したように、優良顧客分析を行う事で顧客に対して適切なアプローチを行う事ができ、売り上げ促進が期待できるようになります。
一方で、優良顧客分析は「アプローチを行っても効果が上がらない顧客」も見出す事ができるのです。
優良顧客分析をしないでマーケティングを行うと、どの顧客にも一定のアプローチを行う事となります。どのようなアプローチを行っても効果の見込めない顧客に対して時間を割く事にもなり兼ねません。
アプローチを行わない顧客を見出しマーケティング対象から外す事で、その人的リソースを購入の可能性が高い顧客に向ける事ができるのです。
3.優良顧客分析をするための4つの手法
優良顧客分析を行うと、マーケティング領域においては大きな効果が期待できる事が分かりました。それでは実際に優良顧客分析を行うにはどうすればいいのでしょうか。
ここでは、主なる4つの分析方法を紹介します。
リテンション分析の3つの手法 | |
分析手法 | 効果 |
RFM分析 | 顧客のデータを分析することで「優良顧客」「休眠顧客」「新規顧客」などにグループ化する分析手法。短期的な売上向上に効果的。 |
CPM分析 | 顧客データを分析することで細かくグループ化する分析手法。長期的な売上向上に効果的。 |
デシル分析 | 一定期間の売上金額で優良顧客を簡易的に割り出せる分析手法。 |
NPS分析 | 顧客が企業やブランドに対してどの程度の愛着や信頼度があるのか」を数値化する |
それぞれについて解説していきます。
3-1.まずは顧客情報を抽出する
優良顧客分析を行う前に、まずは顧客情報の抽出を行います。
有効な分析結果を得るためには、まずはなるべく多くの情報を集める事が必要です。情報が少ないと結果が偏ってしまう可能性があり、顧客のグループ化が難しくなります。
なるべく多くの顧客データがあれば、より精密なセグメンテーションができます。
優良顧客分析のために集めるべきデータの一例 |
会員情報(年齢、性別、職業、住んでいる地域などの属性)、利用状況(時間、季節、曜日など)、購入履歴、利用目的、閲覧履歴 etc. |
持っているデータが少ない場合には、顧客向けにアンケートを実施するなどしてデータを集めましょう。
3-2.RFM分析とは
RFM分析は、優良顧客分析において最も広く使われている分析方法です。「1-1.優良顧客とは会社の売り上げに大きく貢献する顧客の事」で解説した3つの指標を用いて行われる分析をRFM分析と言います。
3-2-1.RFMに必要な3つの指標
RFM分析で最も重要なステップは、「3つの指標」を用いて顧客をグループ化する事です。その「3つの指標」が、「1-1.優良顧客とは会社の売り上げに大きく貢献する顧客の事」でも取り上げたものです。
顧客をそれぞれ、この3つの指標をもとにグループ化していきます。グループの分け方は様々な方法がありますが、まずは以下の3つに分けると良いでしょう。
RFM分析でできるグループ分けの主な例 |
・優良顧客 |
顧客のグループ分けをすることで、それぞれに対して適切にアプローチを行う事ができる様になります。また、この方法を用いる事で既存顧客の優良顧客化のための施策を検討する事も可能となります。
もしも3つのグループでは少ないと思ったら、必要に応じて増やすとより効果的です。以下は、その一例です。
顧客の細かいグループ分けの例 |
・新規顧客 |
より細かく顧客をグループに分ける事で、具体的な施策を打ちやすくなります。
3-2-2.RFM分析のメリット
RFM分析の最大のメリットは、属性に合わせたアプローチを行う事で効果を出しやすくなる点です。RFM分析を行うことで、「今現在アプローチが必要となる層」を割り出すことができます。
何度も解説している通り、顧客へのアプローチはその顧客の購買頻度や金額に合わせて行うべきものです。間違ったアプローチをしてしまうと効果が出ないばかりか、せっかくの優良顧客を手放してしまう可能性があります。
優良顧客は全体の売り上げの約80%を担っていると言われています(パレートの法則)。「今現在アプローチが必要となる層」へのアプローチを行うことで優良顧客を維持したり、売り上げを伸ばすことが可能となるのです。
3-2-3.RFM分析のデメリット
RFM分析は「購入した商品」「利用したサービス内容」が分析に反映されたない点がデメリットといえます。
RFM分析で必要な3つの指標は「購入の時期」「購入の頻度」「購入金額」の3つです。そこに、購入した商品やサービス内容は含まれません。そのため、顧客の状況に合わせたアプローチはできないのです。
例えば、ECサイトである時期にベビー用品を頻繁に買っていた顧客は、子供が成長するにつれてサイトを利用しなくなります。しかし子供が成長して小学校に上がるころ、勉強机や椅子を購入する可能性は十分に考えられます。
RFM分析では、ベビー用品を買わなくなった顧客は「休眠顧客」とされてしまいます。休眠顧客はアプローチの優先順位は低くなり、結果的には勉強机などが必要になったタイミングでの提案はできません。
以上のように、顧客の状況に合わせて必要な商品を提案するためには、RFM分析だけに頼るのではなく様々な視点が必要となるのです。
3-2-4.RFM分析の進め方
必要なデータを集めたら、Excelや専用ツールを使用して分析を行います。
まずは、顧客を「Recency、Frequency、Monetary」の3つの指標を用いて分けていきます。
注意点としては、グループを細かく分けすぎない事です。例えば、「Recency、Frequency、Monetary」の3つの指標をそれぞれ5段階に分けた場合、全体では5×5×5=125のグループに分けられてしまいます。
全ての顧客を125のグループに分ける事はあまりにも作業が膨大ですし、125通りの施策を行う事も困難なため時間の浪費となってしまう事も。
実際には、3~5のグループに分けると良いでしょう。以下はその一例です。
直近でいつ | 頻度 | 購入金額 | |
ランクA | 1週間以内 | 20回以上 | 10万円以上 |
ランクB | 2週間以内 | 15回以上 | 8万円以上 |
ランクC | 1か月以内 | 5回以上 | 5万円以上 |
ランクD | 2か月以内 | 2回以上 | 2万円以上 |
ランクE | 2か月より以前 | 1回のみ | 2万円未満 |
顧客のデータを利用してそれぞれにあてはめ、ランク付けします。期間や頻度、購入金額の目安とする数値は業界や商品によって異なります。それぞれの欲しい情報に合わせて設定するようにしましょう。
RFM分析は数が少なければExcelで行う事も出来ますが、データ量が膨大な場合はRFM分析専用ツールを利用する事がおすすめです。
3-4.CPM分析とは
CPM分析はRFM分析と同じく顧客を複数のグループに分ける分析方法です。考え方としてはRFM分析と変わらないのですが、CPM分析はより多くの指針をもって行う分析手法の事を指します。
3-4-1.CPM分析の10グループの分類
CPM分析では、以下のデータをもとに顧客の分類を行います。
CPM分析で必要となるデータ |
購入回数、購入期間(初回購入日から最終購入日までの経過日数)、離脱期間(最終購入日からの経過日数) |
これらのデータを分析する事で、顧客を以下の10グループに分類していきます。
顧客グループ | 特徴 | |
1 | 初回現役客 | 設定した期間内で初回購入実績のある顧客 |
2 | よちよち現役客 | 設定した期間内に2回以上購入実績のある顧客 |
3 | コツコツ現役客 | 設定した期間内で安定してリピート購入のある顧客 |
4 | 流行現役客 | 短期間で設定金額以上の購入実績のある顧客 |
5 | 優良現役客 | 長期間にわたって特定金額以上の購入実績のある顧客 |
6 | 初回離脱客 | 設定した期間内で初回購入後、離れてしまった顧客 |
7 | よちよち離脱客 | 設定した期間内に2回以上購入実績のあった顧客 |
8 | コツコツ離脱客 | 設定した期間内で安定してリピート購入があり、離れてしまった顧客 |
9 | 流行離脱客 | 短期間で設定金額以上の購入実績があり、離れてしまった顧客 |
10 | 優良離脱客 | 長期間にわたって特定金額以上購入実績があり、離れてしまった顧客 |
顧客をグループ化したら、それぞれのグループの割合を出します。そして、どの層の割合が多いのかを見極めるのです。
この分析で注目すべき点は、「現役客」の推移です。現役客が増えていれば問題ないのですが、離脱客が増加した場合は施策が必要となります。
CPM分析により、RFM分析と違った視点で顧客分析を行える点がメリットと言えます。
3-4-2.CPM分析とRFM分析の違い
CPM分析はRFM分析よりも指標が多く、推移を見ながら運用できるためより中長期的な売り上げ拡大を目指す場合には有効な分析方法です。
これに対し、RFM分析は短期的で直接的な売上拡大を目指せる分析手法となります。
RFM分析は優良顧客となる見込みのある顧客を可視化してアプローチするか、既に優良顧客となっている顧客を維持する方法として有効です。これに対しCPM分析はRFM分析よりも細かいグループ化を行うことで、優良顧客により近い顧客を割り出してアプローチできるのがメリットの一つです。
また、RFM分析では原則としてアプローチの対象外となってしまう「休眠顧客」にも適切なアプローチができるのもメリットといえるでしょう。
CPM分析はRFM分析より多くのデータを元にした分析手法のため、一度離脱した顧客へのアプローチも可能とします。
これを聞くと「RFM分析よりもCPM分析の方が効果的なのでは?」と思うかもしれません。しかし、RFM分析は短期間で効果を上げるという意味では十分に活用できる分析方法です。
どちらにもメリットがあるため、可能であれば顧客分析にはCPM分析とRFM分析の併用をおすすめします。
3-3.デシル分析とは
デシル分析は、一定期間内の購入金額の合計額で顧客を分類し、優良顧客を割り出す分析手法です。この方法は、RFM分析よりもより簡易的に行える分析手法として活用されています。
デシル分析を行うと、一人当たりの購入金額が高い層や、全体の中での売上高構成比を見ることができます。それにより、優良顧客を見出すことができるのです。
この分析方法では、以下のステップで顧客を最終的に10つのグループに当分します。ここでは、仮に顧客が500人いた場合の分析方法を紹介します。
- 顧客を購入金額の高い順に並び変える
- 顧客500人を購入金額上位から10つのグループに分け、各グループの合計金額を算出
- 500人全体の購入金額に対し、各グループの購入金額が何パーセントかを算出する
このステップに数字を当てはめてみましょう。今回は以下のような結果になりました。
上の表の「累積購入金額比率」をご覧ください。これは、デシル1からの購入金額比率を足したものです。これを見ると、この例ではデシル3まで購入金額が全体の80%を占めていることが分かります。
この表では上位80%までを優良顧客とし、この層に対して集中的にアプローチを行うことができるのです。
デシル分析は必要な指標が購入金額のみで、RFM分析よりもはるかに簡単に行えます。そのため購入の傾向などを簡易的に知りたい方にはおすすめです。
ただし、この結果にはかなり昔に購入したデータなども含まれるため、より詳しく分析を行いたい場合はRFM分析をおすすめします。
3-5.NPS分析とは
「NPS分析」とは、「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)」の事です。顧客の企業やブランドに対しての愛着度を測る指標の事を言います。
4-5-1.NPSと顧客満足度の違い
NPSは顧客満足度と混同される事が少なくありませんが、大きく異なる点があります。それは、「業績との相関性」です。
顧客満足度は、サービスや商品を利用した顧客がどれくらい満足したのかを表す指標です。しかし、顧客満足度が高いからと言って必ずしも業績に直結するとは限りません。
1泊1万円のホテルに滞在した顧客は、サービスに満足すればアンケートなどで顧客満足度を満点にするかもしれません。しかし、だからと言ってこの顧客が必ずリピーターになるとは限りません。
それを表す新たな指標として利用されているのが「NPS分析」なのです。
3-5-2.NPS分析の方法
NPS分析を行うために、まずは顧客に対してアンケートを行います。
NPS分析のためのアンケートでは、「このサービスを友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいあるのか」と問い、0~10段階で評価してもらいます。
そしてその結果をもとに、顧客を3つのグループに分けます。
グループ | ポイント | 概要 |
推奨者 | 9、10 | サービスや商品に対し満足感を得、周りにも進めてくれる |
中立者 | 7、8 | 中立な立場を取る |
批判者 | 0~6 | サービスや商品に対し満足感が低く、ネガティブなクチコミを広げる |
そして、それぞれの割合を出したら以下の計算式でNPSスコアを割り出します。
NPSスコアを参考にしながら、顧客満足度を上げるための施策を考えるのです。
当然のことながら、NPSスコアは高ければ高いほど好ましいと言えます。例えば、推奨者が90%で批判者が10%だっ多場合、NPSスコアは「80」となります。これは非常に高い数字です。
一方、推奨者が20%で批判者が50%だった場合にはNPSスコアは「‐30」となるのです。
このように、NPSスコアを出す事で顧客が商品やサービスにどれだけ愛着を持っているかが分かる手法となっているのです。
日本ではこのNPS数値はプラスに振れることは少なく、ほとんどがマイナスに振れると言われています。これは日本人が、評価を行うアンケートで中間の選択肢を選びやすいという特性があるからです。
そのため、NPS分析を行う場合にはその数値の絶対値にこだわりすぎる必要はありません。業界の平均スコアとの相対数値や、推移を見ながら運用する事をおすすめします。
ちなみに、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が2020年に調査した内容によると、業界別の平均値は以下のようになっています。
自分の業界の平均値を観ながら、どのくらいの数値を目指すべきかを見据えて対策を行いましょう。
4.優良顧客分析データを利用した施策例
具体的に、分析データはどのように活用できるのでしょうか。ここでは、以下の5つを例にして解説していきます。
4-1.ダイレクトメール(DM)送付
商品を購入したりサービスを利用してくれた顧客の属性に応じて、ダイレクトメールを送ります。
一般的に、商品やサービスへの関心は購入または利用時期が最も高いとされています。そのため、商品を購入したりサービスを利用してから時間を開けずにダイレクトメールを行う事は効果的な手法です。
以下は属性に応じたDM送付によるアプローチの例です。
対象 | アプローチ方法 |
優良顧客 |
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新規顧客 |
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既存顧客 |
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優良顧客には商品を利用してくれてからすぐのタイミングでDMを行い、再来店や再利用を促します。その際、特別クーポンなどを付けるのも良いでしょう。また、ロイヤル会員向けの限定セールなどを企画し、DMにて告知する方法も有効です。
新規顧客の場合には、例えば「再来店割」などのクーポンを付ける事で再来店を促します。
優良顧客の場合は商品の販売記録なども残っているため嗜好も把握しやすく、顧客の好みに合わせて新製品をおすすめできるのもメリットです。優良顧客の場合は好みの商品が入荷するたびにDMを送るなどでリマインドを行う事が出来ます。
既存顧客に対しても、セール情報を告知するなどしてアプローチが可能です。
4-2.ポイントシステム導入
ポイントシステムの採用もマーケティングの手法として非常に効果的です。商品購入やサービス利用の際、利用金額などに応じてポイントを付与する事で、再来店を促します。また、特定の期間で還元率を上げる事でも再利用のきっかけを与えやすくなるのです。
利用金額などに応じてランク付けして顧客をグループ化することも、優良顧客分析として効果的な手法です。利用回数や金額が高い顧客のポイント還元率を上げるなど、「利用すればするほどお得」となり、再来店のモチベーションになり得るのです。
クレジットカード会社などでこの制度はよく見られます。購入金額に応じてポイント還元率が変わるなどの施策は、優良顧客を育成するのに効果を発揮します。
また、この方法は既にサービスや商品を利用しなくなった休眠顧客にも訴求できる方法です。ポイントアップデーなどを設けてそれをDMなどで告知することで、休眠顧客の掘り起こしも可能となるのです。
4-3.クーポンの配布や告知
クーポンの配布は顧客の再来店や再利用を促すのに適した手法です。現代ではメルマガやチラシ、アプリのプッシュ機能、SNSなど様々な方法で顧客にクーポンを配布できます。
「4-1.ダイレクトメール(DM)送付」でも解説したように、新規顧客に再来店を促すクーポンを配布したり、ロイヤル顧客限定クーポンの配布などでアプローチが可能となります。
「期間限定」や「会員限定」など、特定の人や時期にだけ利用できるクーポンを配布する事は、顧客の購買意欲を高めるのに効果的です。
4-4.会員ランクの付与
顧客を利用金額などによってランク付けするのも効果的です。これは、顧客を利用金額などによってグループ化してランク付けし、そのランクによって得点を付与する方法です。
例えばファンクラブ会員のみが購入できる限定グッズや、プレミアム会員のみが視聴できる動画など、会員のランクによって特典を付与する事で顧客のファン化を目指せます。
ランク設定方法にも様々な手法があります。利用すればするほど会員ランクが上がるなどの方法もあれば、ランクごとに年会費を設定して会員ランクを付けるなど。
重要な点は、会員ランクを上げれば上げるほど受けられるサービスの魅力が増す事。そうする事で、会員のランクを上げるために商品を購入したり、今のランクを維持するためにサービス継続するなどの効果が見込めるのです。
通常、優良顧客分析は企業側が行って施策を打つべきもの。これを顧客側にも可視化させることで、「もう少し利用してランクを上げたい」と思わせることができるため効果的な手法といえるでしょう。
5.優良顧客分析を導入する際の注意点
優良顧客分析はマーケティングにおいて非常に重要だという事はお分かりいただけたかと思います。では、導入に際してどのような注意点があるのでしょうか。
ここでは、以下の2つの注意点について解説していきます。
5-1.一つの分析方法に依存しない
優良顧客分析を行うためには、今回の4つの方法のほかにも様々な方法があります。どの手法においても、強みもあれば弱みもあるのが現状です。
例えば「3-4-2.CPM分析とRFM分析の違い」でも解説した通り、RFM分析では再利用の可能性のある休眠顧客への訴求が難しいというデメリットがあります。CRM分析はより細かい分類ができるため訴求力は上がりますが、結果を出すまでに時間がかかるという事もあります。
デシル分析はざっくりとした分析方法のため、売上金額の指標のみでしか分析ができません。
このように、それぞれの分析方法にメリットもあればデメリットもあるのです。
そのため、優良顧客分析を行う場合には、一つの分析方法だけに依存せず、様々な分析を行う事がおすすめです。複数の分析方法を併用する事で、多角的な視点から顧客を詳しく分析できるからです。
もちろん、導入にはコストがかかるため様々な分析が行えない企業も少なくないでしょう。その場合でも「一つの分析結果だけ」を絶対のものとして施策の参考にすることなく、広い視点で効果的なマーケティング施策を行うように心がけましょう。
5-2.導入にコストがかかる事を理解する
分析の方法にもよりますが、より精度の高い分析結果を得るためには分析ツールを利用する事がおすすめです。膨大なデータ分析を自力で行うのは限界があります。
そのため、分析ツールの導入に費用が掛かることは忘れてはいけません。
その他にも、分析したデータを運用するための費用もかかります。DMを制作したり、ポイントシステムの導入やロイヤルプログラムの導入など、施策にはそれぞれコストがかかります。
また、マーケティングは必ずしも短期的に結果が出るとは限りません。最初は導入コストがかかるだけで成果が上がるのに時間がかかる事もあるため、注意が必要です。
6.マーケティングにはチーターデジタルのサービスがおすすめ
ここまで解説してきた通り、マーケティングを行う際には顧客の事を知り、企業がいかに顧客とコミュニケーションをとるかが鍵となります。優良顧客分析を行う事で顧客との関係性の構築や、維持が可能となるのです。
チータデジタルは。顧客データを用いることでよりパーソナライズされたアプローチを行うための分析ツールを提供しています。
リテンション分析を成功させるためには、顧客データを集めることが必須項目となります。特に近年では「ゼロパーティデータ」の収集が非常に重要とされています。
チーターデジタルのサービス「Marigold Grow」は顧客からゼロパーティーデータを取得し、それを分析するツールです。これを利用することで、より個人に特化したアプローチを実現できます。
ゼロパーティデータとは? |
あるユーザーが企業に対して【意図的に】共有するデータの事。興味のあるサービスやブランド、商品についてのアンケートによる「好み」や「願望」「心象」「意思」の共有などが「ゼロパーティデータ」とされる。 |
「ゼロパーティデータ」と同じカテゴリーの言葉に「ファーストパーティデータ」というものがあります。
ファーストパーティデータとは? |
あるユーザーが属性や年齢、性別などのデータのほか購入記録、閲覧時間やクリックなど、個人が意識的または無意識的に共有しているデータの事 |
近年のマーケティング界隈においてはゼロパーティーデータが特に重要とされています。その背景には、ゼロパーティデータはファーストパーティデータと違い、ユーザーが【意図的に】企業に情報を共有するものだからです。ゼロパーティデータを分析することで、ユーザーがもつ本当の好みや願望を知ることができるのです。
「Marigold Grow」は、こうしたゼロパーティデータやファーストパーティデータを効率的に集めて分析できるマーケティングツールです。
「Marigold Grow」を利用することで顧客データをより効果的に活用でき、よりパーソナライズされた施策でマーケティングを行うことが可能となります。
7.まとめ
この記事では、優良顧客分析について以下の事をまとめてきました。
この記事を読んで分かった事 |
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優良顧客分析を行う事で顧客の事を知り、マーケティング領域において効果を発揮するでしょう。逆に、優良顧客分析を行わなかった場合、せっかくのリピーター獲得のチャンスを逃したり、優良顧客を離反させてしまう可能性もあるのです。
ぜひ、優良顧客分析を行ってマーケティングに生かしてみてください。顧客を知る事で顧客とのコミュニケーションができ、優良顧客を維持または向上する事ができるでしょう。