「顧客満足度と顧客ロイヤルティの違いを知りたい」
という方へ結論からお伝えすると以下のとおりです。
▼ 顧客満足度と顧客ロイヤルティの違い
顧客満足度 | 顧客ロイヤルティ | |
---|---|---|
意味 | 顧客が購入後に「買って良かった(使って良かった)」と思う度合い | 他社に乗り換えることなく、ゆるぎなく一途に、ずっとこの商品を購入し続けるという忠誠心 |
代表的な指標 | アンケート調査結果 | 解約率(顧客離脱率) |
時間の感覚 | (顧客ロイヤルティに比較して) 形成に時間がかからない |
(顧客満足度に比較して) 形成に時間がかかる |
一般的には“顧客ロイヤルティ=信頼、愛着”と説明されるため、顧客満足度との違いがスッキリ理解できず、
「わかったような……わからないような……」
というフラストレーションを抱える方が多くいます。
しかし、顧客ロイヤルティは現代のマーケティングにおいて最重要といっても過言ではない概念です。成果をあげるためには、あいまいにせず、きちんと理解しておく必要があります。
そこで本記事では、「顧客満足度と顧客ロイヤルティの違い」にフォーカスして、わかりやすく解説します。
本記事のポイント
● 顧客満足度と顧客ロイヤルティの違いが単純明快にわかる
● 顧客満足度・顧客ロイヤルティを高める具体的なツールを紹介
● 次世代のロイヤルティ・マーケティングの重要ヒントまで網羅
「顧客満足度と顧客ロイヤルティについて、きちんと理解しておきたい」
「マーケティング業務の成果につながる情報がほしい」
…という方におすすめの内容となっています。
この解説を最後までお読みいただければ、「顧客満足度と顧客ロイヤルティの違い」はもちろん、今まであやふやだった理解が、スーッと霧が晴れるように明確になっていくでしょう。
結果として、顧客満足度や顧客ロイヤルティを、収益につなげられるようになります。
では、さっそく解説を始めましょう。
1. 顧客満足度と顧客ロイヤルティの違い(1)意味
最初に、顧客満足度と顧客ロイヤルティの「意味」にはどんな違いがあるのか、見ていきましょう。
1-1. 顧客満足度とは“顧客がどれだけ満足しているか”
まず、顧客満足度とは“顧客がどれだけ満足しているか”という意味です。
マーケティング用語としては、カスタマー・サティスファクション(CS、CSAT:Customer Satisfaction)が、顧客満足度にあたります。
顧客が購入した商品・サービスや、その提供元である企業やブランドに対して、顧客満足度が最も高い顧客は「非常に満足」しており、顧客満足度が最も低い顧客は「非常に不満」と感じています。
言い換えるなら、顧客が購入後に「買って良かった(使って良かった)」と思う度合いが、顧客満足度です。
1-2. 顧客ロイヤルティとは“顧客の忠誠心”
顧客満足度はスムーズに理解できても、多くの人は顧客ロイヤルティの理解でつまずきます。
マーケティング用語としてはカスタマー・ロイヤルティ(CL:Customer loyalty)のことですが、和訳としてドンピシャリの言葉がないのです。
“顧客ロイヤルティ=信頼や愛着”という説明がよく使われますが、
「信頼や愛着といわれても、いまひとつ理解できない」
「信頼や愛着は、顧客満足度と何が違うの?」
と感じる方が多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは和訳ではなく「顧客ロイヤルティ」というマーケティング用語として、その概念事態を解説しましょう。
顧客の忠誠とは何か
「loyalty(ロイヤルティ)」とは、忠義・忠誠・忠実・愛国心などの意味を持つ言葉です。
顧客ロイヤルティを直訳すると 「顧客の忠誠心」となります。
顧客の忠誠とは、何に対する忠誠なのかといえば、
「他の商品に乗り換えることなく、ゆるぎなく一途に、ずっとこの商品を購入し続ける」
ことへの忠誠、と解釈しましょう。
そう感じるほどの信頼や愛着という意味で、“顧客ロイヤルティ=信頼や愛着”と説明されるのです。
例えば、以下は顧客ロイヤルティが高い顧客の心情の例といえます。
▼ 顧客ロイヤルティが高い顧客の心情の例
- 「ほかの商品には浮気しないで、この商品だけを使用したい」
- 「●●カテゴリの商品は、必ずこのブランドと買うと決めている」
- 「多少の失敗があったって、私はこの会社を見捨てない」
- 「私はこのブランドが大好きだから、これからもずっと愛用し続ける」
顧客ロイヤルティという概念には、単なる信頼や愛着だけでなく、
「この商品がいい」
「この商品でなければダメだ」
という、“執心、こだわり、思い入れ”のニュアンスもあることを押さえると、理解しやすいでしょう。
「特定の商品・サービス、企業、ブランドなどに心が惹かれて思い入れがあり、離れられない(離れたくない)」
という状態が、顧客ロイヤルティの高い状態です。
1-3. 顧客満足度と顧客ロイヤルティは必ずしも比例しない
ここまでの話をいったんまとめましょう。
顧客満足度 | 顧客が購入後に「買って良かった(使って良かった)」と思う度合い |
顧客ロイヤルティ | 他社に乗り換えることなく、ゆるぎなく一途に、ずっとこの商品を購入し続けるという忠誠心 |
よくあるのが、
「顧客ロイヤルティとは、顧客満足度の発展系ですか?」
という問いです。
確かに、顧客満足度の発展として顧客ロイヤルティを捉える研究者もいます。しかし実務上は、“顧客満足度と顧客ロイヤルティは別の概念”として捉えたほうが有益です。
なぜなら、顧客満足度と顧客ロイヤルティは、必ずしも比例しないからです。
顧客満足度と顧客ロイヤルティに密接な相関関係があることは事実ですが、
「顧客満足度は低いけれども、顧客ロイヤルティは高い」
「顧客満足度は高いけれども、顧客ロイヤルティは低い」
というシチュエーションも、発生します。
顧客満足度が低いけれど顧客ロイヤルティは高い例
どういうことかといえば、例えばあなたが「このブランドだけは、ずっと変わらず買い続けたい」と強く思っているブランドを思い浮かべてみましょう。
iPhoneでも、スターバックスでも、無印良品でもかまいません。あるいは、少し対象を広げ、推しているアイドルやスポーツチームでもイメージしやすいでしょう。
ある時期に何らかの不満が発生して、あなたの満足度が下がることがあっても、ロイヤルティ(忠誠心)は、そう簡単には失われないはずです。
顧客満足度が高いけれど顧客ロイヤルティは低い例
逆に顧客満足度が高いけれど、顧客ロイヤルティは低い例を考えてみましょう。
しかし、次回もまた同じ商品を買うか?といわれれば、そこまでの愛着はない。
実は、このようなシチュエーションは、日々たくさん起きています。
例えば、あなたが最近購入した飲料、ガジェット、日用品などを思い浮かべてみてください。
「購入して満足しているものの、その商品やブランドに対して、何の思い入れもない」
……というものが多数あることに気付くでしょう。
だからこそ、近年のマーケティング活動では、顧客ロイヤルティの重要性が注目されています。
顧客満足度だけでなく、顧客ロイヤルティも高まらなければ、「ずっと買い続けたい」という顧客のモチベーションにはならないということです。
2. 顧客満足度と顧客ロイヤルティの違い(2)マーケティング指標
次に、より実践的な「マーケティング指標」の観点から顧客満足度と顧客ロイヤルティを見ていきましょう。
2-1. 顧客満足度の指標の基本は“アンケート調査”
顧客満足度をどんな指標で測定するかは、企業の考え方やマーケティング戦略によって異なるところですが、最も基本となるのはアンケート調査によるリサーチ結果です。
顧客に直接、満足している度合いを尋ねることによって、顧客満足度を数値化します。
▼ アンケート調査の例
2-2. 顧客ロイヤルティの重要指標は“解約率(顧客離脱率)”
顧客ロイヤルティの指標にも、アンケートの調査結果(継続意向など)は使われます。
ですが、マーケティング先進企業が顧客ロイヤルティの重要指標として見ている数値がひとつあり、それは「解約率(顧客離脱率)」です。
扱っている商品・サービスの内容や形態、業界によって呼び方が変わるため、列記しておきましょう。以下はすべて本質的には同じことです。
▼ 顧客ロイヤルティの重要指標
- 解約率
- チャーンレート
- 顧客離脱率
- 顧客脱落率
- 退会率
顧客ロイヤルティとは前述のとおり
「他の商品に乗り換えることなく、ゆるぎなく一途に、ずっとこの商品を購入し続ける」
という忠誠心のことです。
購入を止めて他社にブランドスイッチする(乗り換える)顧客が少ない(=解約率・顧客離脱率が低い)ほど、顧客ロイヤルティが高いと判断できるというわけです。
3.顧客満足度と顧客ロイヤルティの違い(3)時間の感覚
さて、先ほど「顧客満足度と顧客ロイヤルティは必ずしも比例しない」という話をしましたが、この点に深い関わりがあるのが「時間」です。
3-1. 顧客満足度より顧客ロイヤルティのほうが形成に時間がかかる
ときに例外はあるものの、通常は顧客満足度よりも顧客ロイヤルティのほうが形成に時間がかかります。
ここで意味をおさらいしておきましょう。
顧客満足度 | 顧客が購入後に「買って良かった(使って良かった)」と思う度合い |
顧客ロイヤルティ | 他社に乗り換えることなく、ゆるぎなく一途に、ずっとこの商品を購入し続けるという忠誠心 |
顧客満足度は、質の高い商品・サービスの提供をしたならば、たった一回の接触であっても、高めることが可能です。
焦点は「顧客が満足したか、しなかったか」ですから、大満足できる価値を提供すれば良いのです。
しかし、より複雑に顧客の心理と絡み合うのが「顧客ロイヤルティ」となります。
単に満足するだけでなく、商品やブランドに対する思い入れや愛着心を醸成するためには、何度も接触しながら関係性を深める時間が必要です。
これは、恋人同士の関係に似ています。
初めてのデートで、
「あ〜、楽しかった!今日は会って良かった」
と満足できたとしても、
「今後、他の人に浮気することなく、ゆるぎなく一途に、ずっとこの人を愛し続けるという忠誠心」
は、まだ生まれないはずです。
その後、時間をかけコミュニケーションを重ねるなかで、信頼や愛情、感謝、「この人でないとだめ」という思い入れが生まれ、愛が深まっていきます。
顧客ロイヤルティも同じで、例えるなら顧客とブランド(企業)の間で関係性を深める時間が必要なのです。
4. 次世代のマーケティングでは顧客満足度も顧客ロイヤルティも重要
ここまでお読みいただき、
「顧客満足度と顧客ロイヤルティはどっちが重要なの?」
……という疑問が浮かんでいるかもしれません。
結論からいえば、顧客満足度と顧客ロイヤルティは、どちらも重要です。
前述のとおり、顧客満足度と顧客ロイヤルティは密接な相関関係にあり重なり合う部分がある一方で、まったく個別の動きをする部分もあります。
どちらか一方に偏重したり、あるいはどちらかを軽視することなく、それぞれの重要性を理解して具体的なアクションにつなげましょう。
5. 顧客満足度と顧客ロイヤルティを高めるツール
ところで、最近こんなお悩みをよく耳にします。
「顧客満足度と顧客ロイヤルティ、重要性は理解しているけれど、具体的に何をすべきかわからない」
「Webマーケティングでは、顧客ととのタッチポイントが複雑になりすぎて、正直、手が回らない」
まず前提として、顧客満足度を高めるためには、商品・サービスの品質を高めましょう。
マーケティングというとコミュニケーションに目が行きがちですが、大前提として、販売する商品・サービスを通して、顧客のニーズに応える価値を提供することが絶対不可欠です。
そのうえで、コミュニケーションの部分は、ぜひ専用ツールを活用してください。
なぜなら、担当者の経験や勘を頼りに手作業で設計して間に合うほど、現代のマーケティングシーンは、シンプルではないからです。
次世代のマーケティング・コミュニケーションを実現するおすすめツールに、『Marigold Engage+』があります。
エンゲージメント・データ・プラットフォーム、エクスペリエンス、メッセージング、ロイヤルティの4つの機能を持ち、パーソナライズされた顧客体験・クロスチャネルメッセージング・ロイヤルティ戦略をオールインワンで実現できるツールです。
つまり、顧客一人ひとりに合わせた応対で顧客満足度を高めながら、データをもとにした効果的なロイヤルティ戦略を実行できます。
詳しくは以下のリンクからご確認ください。
6. 顧客ロイヤルティを向上させる重要なヒント
最後に、顧客ロイヤルティを向上させるために重要なヒントを3つ、お伝えしましょう。
- 企業やブランドの自己開示がないと好きになりようがない
- 顧客ロイヤルティの鍵を握る“恩返し”
- 新規顧客の獲得から顧客ロイヤルティの概念を取り入れる
6-1. 企業やブランドの自己開示がないと好きになりようがない
1つめは「企業やブランドの自己開示がないと好きになりようがない」です。
私たちが何か(誰か)を好きになるとき、必ず相手のことを知る必要があります。
「●●というところがあるんだ。そんなところが好き」
という気持ちが芽生えるわけです。
つまり、製品を使用したときの満足度が高くても、「相手が何者かわからない」と、思い入れや愛着は生まれにくいのです。
企業やブランドは、積極的に自己開示をしましょう。
企業やブランドの自己開示とは、どんな思いで・どんな使命感を持ち・どんな行動規範で・どんなストーリーを持ち・どんな気持ちで顧客に接しているか──など、提供している商品・サービスのプロダクトそのものの情報以外の物語を、積極的に語ることといえます。
自分たちが何者なのか、その輪郭を明確にするほど、「好きだ」という顧客が集まり始めるでしょう。
6-2. 顧客ロイヤルティの鍵を握る“恩返し”
2つめは「 顧客ロイヤルティの鍵を握る“恩返し”」です。
顧客が、ブランドや企業に対してロイヤルティという忠義を尽くすのは、無償ではありません。
“過去にブランドや企業から何かをしてもらった義理のある恩”があるから、その恩を返したい気持ちが、忠誠心(顧客ロイヤルティ)につながるのです。
この点は、顧客ロイヤルティを考えるうえで大変重要なヒントとなるでしょう。
顧客は、商品の価格として支払ったお金の対価として、商品・サービスのベネフィットを受け取りますが、“支払ったお金以上の対価を受け取った”と感じたときに、顧客ロイヤルティが生まれやすいのです。
あなたのブランドや企業は、顧客にどんな価値を届けているのか。顧客ロイヤルティを生み出すに余りある価値の量になっているのか。改めて考えてみましょう。
6-3. 新規顧客の獲得から顧客ロイヤルティの概念を取り入れる
3つめは「新規顧客の獲得から顧客ロイヤルティの概念を取り入れる」です。
従来のマーケティングでは、顧客ロイヤルティの概念は、既存顧客に対するものでした。
新規顧客の母数を多く獲得して、獲得した一部の顧客をロイヤル顧客に育成するやり方です。
しかし、私たちチーターデジタルは、ロイヤル顧客から逆引きするマーケティングのほうが、はるかに効果的であることを発見しました。
新規顧客の獲得時点から顧客ロイヤルティの観点を取り入れ、顧客ロイヤルティが高まりやすい顧客を獲得したうえで、より多くの顧客をロイヤル顧客へと育成するという手法になります。
これからのロイヤルティ・マーケティングにおいて、不可欠な視点となっていくでしょう。
詳しくは以下のリンクからお問い合わせください。
7. まとめ
顧客満足度と顧客ロイヤルティの違いをまとめると以下のとおりです。
顧客満足度 | 顧客ロイヤルティ | |
---|---|---|
意味 | 顧客が購入後に「買って良かった(使って良かった)」と思う度合い | 他社に乗り換えることなく、ゆるぎなく一途に、ずっとこの商品を購入し続けるという忠誠心 |
代表的な指標 | アンケート調査結果 | 解約率(顧客離脱率) |
時間の感覚 | (顧客ロイヤルティに比較して) 形成に時間がかからない |
(顧客満足度に比較して) 形成に時間がかかる |
顧客満足度と顧客ロイヤルティのどちらが重要かといえば、答えは「どちらも非常に重要」です。
顧客満足度・顧客ロイヤルティを向上するためには、専用ツール『Marigold Engage+』の導入をおすすめします。
タッチポイント(顧客との接点)が複雑化する現代では、担当者の経験や勘による手作業の施策では、効果を出すことが非常に難しくなっているためです。
顧客ロイヤルティを向上させる重要なヒントとしては、以下が挙げられます。
- 企業やブランドの自己開示がないと好きになりようがない
- 顧客ロイヤルティの鍵を握る“恩返し”
- 新規顧客の獲得から顧客ロイヤルティの概念を取り入れる
なお、仕組みとして顧客ロイヤルティが向上するシステムを導入したい方には、以下の記事がおすすめです。ぜひ続けてご覧ください。